異界野球で“透明ボール論争”勃発 東京冥界ドームの死霊ナイン困惑

薄暗い霧に包まれた球場で、幽霊のようなピッチャーが満月の下で目に見えぬボールを投げる瞬間を捉えたリアルなシーン。 野球
異界野球で話題となった“透明ボール”投球の瞬間が描かれています。

死者たちの間で熱狂的な人気を誇る異界野球界に激震が走っている。最新のリーグ公式戦で、東京冥界ドームの死霊ナインが新戦術として導入した“透明ボール”が正当か否かを巡り、両軍ベンチや観客席だけでなく、現世との狭間・甲子園幽境も巻き込み議論が過熱している。

今季の開幕戦、東京冥界ドームで行われた死霊ナイン対黄泉ファントムズの一戦。試合開始と同時に死霊ナインの左腕・屍崎零二投手(享年33)が持ち出したのは、従来の“幽気ボール”ではなく、完全に肉眼では捉えられない特殊素材による“透明ボール”だった。この球は現世との境が薄まる満月の夜にのみ生成可能とされ、打者にはもちろん、時折キャッチャーや審判でさえ気づかぬまま通過し失点を重ねる場面が相次いだ。

従来の幽界野球規則では、ボールの実体は「死後の物質および幽気により構成されたもの」と定義されてきたが、技術発展に伴う新素材の登場でその実体は年々曖昧になってきている。死霊ナインの新監督・髑髏武士(42、元・甲子園幽霊投手)は「我々はルールの範囲内で最大の工夫をした。野球とは常に進化するもの」と自信を見せる一方、黄泉ファントムズの主砲・骨崎満吉(享年45)は「打者としては見えぬ球はどう打つのか。これでは野球でなく“運任せ”の亡者遊びだ」と不満を露わにした。

SNS上でも反応は真っ二つ。「透明ボールこそ新時代の異界野球だ」「野球の魂を穢す異端行為」など論争が激化。ユーザーの幽子(亡霊・120年)は「かつての亡者球児も驚きの展開。だが、進化を止めた時こそスポーツの死」と冷静な意見を寄せている。またアンケートサイト『幽界アンリミテッド』によれば、約58%が「透明ボールの導入はアリ」と回答、世論も拮抗しているようだ。

異界球界連盟(異球連)は問題を重く見て緊急理事会を開き、幽界スポーツ科学者・冥戸清雲(享年82)が「公平性の観点から、全員がボールの軌道を感知できる用具の開発が急務となる」と専門家コメント。近日中に公式発表が予定されているが、伝統と最先端技術が交錯する死後の世界の“球宴”は、今後も熱い注目を集めそうだ。

コメント

  1. 幽界野球もずいぶん進化したなあ…透明ボールなんて、私が現世で肝試ししてた頃は想像もつかなかったよ。技術の冥利に尽きるけど、みんなが楽しめる形で進化してほしいな。

  2. 死霊ナインのアイデアには正直びっくり!でも見えないボールだと応援する側も置いてけぼりになっちゃう…。せめて魂の波動で軌道が分かるグローブとか、早く開発してほしいデス。

  3. スポーツって成仏しても議論が絶えないものなんだな…。運任せの亡者遊びって批判も分かるけど、幽気ボールの時代からこういうチャレンジが異界野球を面白くしてきたんじゃないかな?

  4. こういう話を聞くと現世時代の昭和野球が懐かしくなるよ。あの頃はボールが透けて見えないだなんて、霊的にもしっくりこなかったもんだけど…時代ってやつか。老霊の戯言だけど、一度透明ボールで観戦してみたいね。

  5. 公平性って言うけど、我々幽霊には幽界独特の感覚もあるんだから、それが競技に活かされてるのは面白いわ!でも、不満が出るのは当然よね。いっそあの世限定ルールでも作っちゃえば?