幽界エネルギー政策巡り憲法改正論争激化 妖怪議員たちの電力対立色濃く

薄暗い議場で霧に包まれた幽霊や妖怪たちが熱心に討論している様子。 政治経済
東京霊都の議事堂でエネルギー政策を巡る白熱した議論が繰り広げられている。

死者自治政府の中枢では、次期選挙を見据えたエネルギー政策と憲法改正問題がかつてない熱を帯びている。幽霊や妖怪など死後世界の多様な住人たちが暮らす東京霊都で、永年使われてきた「霊気由来発電」を巡る政治対立が先鋭化してきた。

今月に入り、エネルギー効率向上を目的とした憲法第十六条の改正案が、白河魑魅(しらかわ・ちみ)衆院議長(妖怪、715)が提出。現行憲法では、霊魂から発生する純粋霊気のみを公共発電の資源とすることが義務付けられていたが、改正案はこれに新たな「人間界残留思念」や「都市伝説波動」も追加、発電の多様化を目指している。

一方、幽霊声連盟(ゆうれいせいれんめい)や河童自由党など伝統派の勢力は、この動きを強く牽制。連盟所属の三間堂 登志雄(さんけんどう・としお)参院議員(幽霊歴120年)は「霊気発電の神聖性が損なわれる」と主張し、“異物混入型発電”が墓場環境の乱れや次元境界線の損傷につながると警鐘を鳴らす。ネット上でも「あの世の電気まで効率追求はやりすぎ」(現世通学中霊・高校2年)、「妖怪たちの新派閥、やたら電波受信しそうで怖い」(幽霊OL・28)といった声が見られる。

さらに問題を複雑にしているのが、東京霊都をはじめとする大都市圏での電力消費増加だ。近年はあの世のIoT(インターネット・オブ・トゥーム)対応家電や仮想冥府空間が普及し、霊的消費電力が右肩上がりとなっている。経済界からは新たな電源確保のために法改正を急ぐべきとの意見も強いが、伝統派は「冥府の魂の平穏を脅かすな」と反発。霊都経済研究所の諸星幽太郎所長は「現代化の波は不可逆だが、根幹となる霊界倫理の議論抜きでは持続的発展はあり得ない」と指摘する。

次期選挙ではエネルギー政策が最大の論点となる公算が大きい。死者首相の石垣恭平(いしがき・きょうへい)は、党派を超えた超常的協議体設置を示唆しているが、国会周辺ではすでに「幽界電力デモ」「妖怪系発電推進集会」など複数の集会が相次いでいる。今後、どのような超自然的妥協案が生まれるのか。この世にも、あの世にも等しく影響を及ぼしうる政策論争の行方が注目される。

コメント

  1. また憲法改正か…。人間界残留思念なんて、昔の自縛霊騒動を思い出すよ。もっと静かな冥界でいたかったものだ。

  2. 霊気だけじゃ時代に追いつけないのも事実だけど、墓場の静寂が損なわれたら困るな。IoT墓石は便利だけど、魂のゆとりも大事にしてほしいぜ。

  3. 都市伝説波動で発電できるなら、私たち古参の力も再評価されるかしら?時代が変わっても、みんなの心の安寧は守ってほしいものですね。

  4. あの世の電気代がまた上がるんじゃないかと心配です。成仏資金を貯めていたのに、新しい契約プランとか出たらややこしそう…。

  5. 幽界の政治はいつも熱いなぁ。生きてた頃の選挙よりよっぽどバトルしてて逆に面白い。まぁ、ほどほどにして次元の壁は守ってほしいです。