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死後の世界に住む幽霊、妖怪、魂たちによる伝統的なスポーツ大会「幽界ヴィンヤサ・ヨガ選手権」が今年も盛大に開催された。注目は今大会から導入された「ナマステ採点」ルール。幽界らしいトラブルや爆笑ハプニングも続出し、SNSでは「未練解消ヨガ」「この世で流行確定」のハッシュタグがトレンド入りするなど、想定外の盛り上がりを見せている。
第12回となる本大会は、冥土エクササイズ協会(会長:久遠修斗)が主催し、総勢504体が各流派を代表してエントリー。競技種目は「無重力ヴィンヤサ」「催涙リラクゼーション」「器物すり抜けバランス」など計7種目。特に今年初開催となった「深淵ナマステ部門」(インド式の合掌と深礼を組み合わせた挨拶の美しさを競う種目)には、妖怪僧サトリ・ゼンジ(451)が「ヨガの真髄は誠意ある一礼にこそ現れる」として力を入れている。
一方、現れたばかりの新人幽霊であるメリー・オシン(没後2年)は「地縛霊は体が重くて横たわるヴィンヤサが苦手」と語りつつも、「リラクゼーション種目で物体越しに瞑想すれば未練も薄まる」と前向き。大会2日目には、彼女が床板に半身を残したままポーズを決めたため、審判のコダマ・スズネ(260)が掟上初のリカバリー解説をする一幕も見られた。
また、会場では「芳香線香ヴィンヤサ」なる新種目も試験的に行われた。幽香師のクラウス・ミドリ(軟体妖怪、没後128年)が開発した低刺激線香が競技場全体に焚かれたことで、参加者たちの衣(残留思念のアウラ)が次々と明度変化。「ヴィンヤサ中にアウラの色が5分変色したら合格」という基準に、他界詩人のオワリ・シノブ(39)が「肉体という枷を離れた美の獲得だ」と絶賛した。
SNS上では、ヨガ愛好家の幽霊教師・アヤシキ・ノゾミが「ナマステ採点導入は画期的。生前のヨガレッスンでも導入してほしかった」とコメント。一方で、地縛系幽霊たちからは「肉体がない分、バランス系種目が難しい」「消え入りそうなリラクゼーションで配点を上げてほしい」と改善案も相次いだ。
大会運営本部は今後「魂の柔軟性」と「未練度」に応じたハンディキャップ制導入を検討している。冥土エクササイズ協会の会長・久遠修斗は「幽霊も妖怪も、リラクゼーションを通して自分と向き合う季節。生者も死者も“ナマステ”精神で繋がりたい」と語り、会場を後にした。
コメント
毎年この大会は成仏の息抜きに見てるけど、今年はナマステ採点で皆の礼が一段と幽玄になった気がする…!床板に半身置いていく新技には、思わず生前のヨガ教室を思い出して懐かしくなったわ。
線香ヴィンヤサ、見てみたかったなあ。アウラが色変わるなんて、さすがあの世の発想!でも地縛系にはバランス難しそうで不公平感もある。せめて未練点でハンデつけてあげてほしい。
幽界ヨガ、相変わらず自由度高くて笑える。今年からのナマステ採点って生きてた頃にもあったら、ワタシももう少し早く成仏できたかも?リラクゼーションで未練薄まるってのも実感してみたい!
なんだかんだ言ってみんなヨガには本気なのが面白い。幽香師クラウスの線香はちょっとくさかったけど、ヴィンヤサしながらアウラ七変化できるのは自慢できそう。今年も終わったら忘年供養ヨガやりたいな。
あの大会は新種目が年々奇抜で好き。深淵ナマステは神秘的だったけど、地縛霊のメリーさんが途中で床板ごと瞑想に入るの見てしまい、思わず自分の成仏も考えさせられた。やっぱり幽界は奥が深い。