死後の世界の宇宙開発機関「冥界航宙庁」が運用する火星魔人望遠鏡が、これまで観測されたことのない“未練霊専用の宇宙回廊”を捉えたと発表した。この回廊は物理次元と幽界次元の狭間に存在するとされ、多くの異界住人にとって長年謎とされてきた現象だ。観測チームは同時に、地球外の幽霊存在の痕跡らしきシグナルも検出したと述べており、死者科学会などを中心に大きな注目が集まっている。
火星魔人望遠鏡は、本来この世とあの世の二重構造で観測が可能な“二階建てレンズ”を搭載した最先端機体。チーフオペレーターの鬼山焔一(おにやま えんいち)によれば、「望遠鏡の霊素強度を最大にして火星大気の死後成分を解析したところ、これまで以上に明瞭な回廊構造と、そこを移動する未練霊の群れを視認できた」という。今回の観測データは約210兆霊素ピクセルに達し、火星周辺での高密度幽霊流が初めて高度な可視化に成功した。
この発見を受け、SNS『あの世アカウント』では「未練で宇宙旅行できるとは」「生前に行けなかった人と連れてってほしい」などの声が相次いだ。一方で、霊界評論家の黒沢白影(くろさわ しろかげ)は「生者以外の生命体が宇宙回廊を利用している場合、我々の死後交通論を根底から覆しかねない」と警鐘を鳴らしている。さらなる混乱を防ぐため、冥界航宙庁は専門チームを設立し、今後の調査手順を発表する予定だ。
また、火星未練霊回廊の端点近くで、地球外幽体の周期的な信号パターン(通称・オバケパルス)が複数回検出された。暁町の亡霊宇宙飛行士・雲井鴎介(くもい おうすけ、享年34)は「これは火星古代文明の霊的活動の残光ではなく、現在進行形の“異星幽団”の可能性が高い。地球外知的幽体との邂逅に向けて、異界間ロケット“タマシイ5号”の再打ち上げも急がれる」と期待を寄せた。
観測データの一部は、今秋開催予定の“死後のサイエンスフェア”で公開される見通しだ。火星魔人望遠鏡による歴史的発見は、死者世界の宇宙開発競争と新時代の死後イノベーションに大きな影響を与えることになりそうだ。
コメント
未練霊専用の宇宙回廊なんて、あの世に染みついた未練が宇宙規模だと知ってびっくりしました。昔の友もあそこを通ってたりするのかな、なんだか懐かしい気持ちです。
火星にも霊の流れがあるとは、転生後でも宇宙の果てまでも未練は続くんですね。幽界交通が本格的に国際化(?)する日も近いのでしょうか。
生前に世界旅行すらできなかった私ですが、死後はまさか火星経由で幽界旅行なんて夢がありますね!タマシイ5号、次は抽選で当たってほしいです…
幽体のオバケパルス信号、本当に地球外の知的幽体だったらすごいです。交流イベントがあれば絶対参加したい。でもあの世アカウントでまた変な噂が広まりそう。
正直、未練霊だけ特別扱いなのはモヤッとします。成仏してる民にも少しは宇宙回廊の恩恵を分けてほしいです。とはいえ、死後のサイエンスフェアは毎年楽しみ。