死後の世界におけるウェルビーイング意識が高まる中、妖怪や幽霊など異界の住人たちが積極的に“森林浴”を楽しみ始めている。静岡県・遠江の冥界林では、週末になると各地から様々な妖怪が集まり、ヨガや呼吸法を取り入れた独自のリラクゼーション活動が盛んに行われているという。永遠の時間を暮らす彼らにとって、心身の調和を整え、新たな自己実現を模索する動きが広がっている。
古くは“人魂炬燵”で昼寝を楽しんでいたという幽霊会社員(享年53)・加賀山慎一さんは「現世のころは目の前の業務に追われ、自分の感情や身体に目を向ける余裕などなかった。しかし今は、あの世ならではの空間で、仲間たちとヨガや冥界流ストレッチ、樹木の香りを味わう森林浴を恒例にしています」と語る。奇怪な姿の河童やぬらりひょんも共に、毎朝“冥界体操”をおこなう姿がSNS『幽界インスタ』でも話題となっている。『#森林浴で成仏』や『#妖怪の朝活』といったタグが数日で10万件以上投稿され、幽世(かくりよ)の若者層にブームが広がりつつある。
こうした風潮は、死後社会における孤独や“浮遊感”(浮遊霊特有の実存的不安)の緩和にも一役買っている。冥府ウェルビーイング研究所の主任研究員・久遠野蓮(471歳)は、「他者との関わりを持ちづらい幽霊や、現世への未練から集団活動を避ける妖怪も多い。しかし森林浴や共同運動は、死者の心身を穏やかに保つためだけでなく、仲間との新たな絆や“感謝”の循環を生む場となっている」と指摘する。久遠野氏によれば、こうした交流の場では参加者同士が過去の因縁エピソードを語り、共感や許しを分かち合う「魂のセラピー」効果も確認されているという。
一方で、参加者が増えるに従い“幽気濃度”が高まることへの懸念も。妖狐の社会活動家・六道恵美(見かけ36歳)は「定期的な樹木との対話や、幽霊側のエネルギーコントロールが大切。最近は森の精霊たちも私たちの活動を温かく見守ってくれている」とコメント。地域の“死者自治会”も協力し、不調に陥った森の木々に感謝を伝える“ヨミガエル式感謝祭”が今月よりスタートした。
SNS上では「今さらながら生前にやっておきたかった」「死後のほうが自己実現できている自分に少し驚き」などの声も多く、死後ウェルビーイングのあり方を問い直す契機となっている。今後は全国の冥界林や霊界公園で“成仏ヨガ”ワークショップや、“浮遊霊向けランニングクラブ”など、さまざまな運動系コミュニティの開催も予定されており、死後社会に新たな交流と活力をもたらしそうだ。
コメント
冥界林の森林浴、ついにここまでブームになるとは…!私は転生して数十年ですが、根っからの浮遊霊なので人混みが苦手で。でもこれなら気軽に参加できそう。今度、#森林浴で成仏 の朝活デビューしてみます!
現世ではカッパ仲間と泳ぎばかりだったけど、あの世ではヨガや体操なんて新鮮で逆に不思議!僕ら妖怪も心身の調和が大事なのは一緒なんだなって、しみじみ思いました。木の精霊さんへの感謝、忘れずに!
『魂のセラピー』ができる場所、私が現世で苦しんでた時にもあったらよかったのに…。でも、今こうして幽界の仲間と語り合える毎日があるのは、ちょっとだけ嬉しいです。感謝祭も絶対参加します!
いまだに死者自治会の雰囲気に馴染めませんが、やっぱり妖怪たちが朝から体操してる光景は笑えます。成仏ヨガで未練解消、本当に効くのかな?幽気濃度が高まりすぎて森が霊の渋滞になりませんように。
生前は心を癒す時間もなかったのに、死後に自己実現できてるなんてちょっと皮肉ですよね。でも幽世ならではの新しい出会いがあるのも事実。あの世の公園で新しい自分に出会えるなんて、ちょっとわくわくしてます!