死後の世界でもスポーツ熱は衰え知らず。昨晩、幽界最大のゴルフコース「新冥土フェアウェイ」で、第1回ゴーストゴルフトーナメントが開催され、各界を代表する幽霊、妖怪、精霊ゴルファーたちが満月に照らされたグリーンを駆け抜けた。優勝は新星プロゴルファーの木霊清春(こだま きよはる、享年29・元林業作業員)。その圧巻のプレーと幽玄なる“透明スイング”に、異界スポーツファンが大いに湧いた。
コースは全長7,050幽里(ユウリ)、異界基準でパー72。中でも難関とされる14番パー5「業火の谷」では、炎を模した狐火の障害物や、徘徊する無念エネルギーで何人ものプレイヤーがダブルボギーを喫し、沈鬱なため息が霧のようにラフへ漂った。しかし木霊選手は、14番で霊力ドローンを巧みに操り、フェアウェイど真ん中の最遠ポイントにキャディバッグ(重量わずか32霊グラム)ごと転送。見事なイーグルを決め、観戦していた妖怪ギャラリーたちは心臓の鼓動すら止まりそうなほど驚愕した。
「彼のプレーは本当に透明感がある。あれほど無音でクラブが振れるとは、死後界ゴルフ史に残る偉業だ」と、プロ解説者の九十九丸紗那(つくもまる さな、現役幽霊キャディ、享年61)は舌を巻く。ホールインワンも3度飛び出し、ティータイム(参加者らの魂を癒やす特製霊茶が供された)には「見えざるスイング動画」がSNS「幽界イッター」で拡散。中継を見守った無縁仏ファンからは「推しの無欲感が半端ない」「浮遊ドライブショット、現世プロにも見せたい」などの熱いコメントが殺到した。
大会では奇妙なハプニングも相次いだ。17番ホールのティーグラウンドで、小豆洗い(あずきあらい・妖怪、年齢不詳)が突如として自作の小豆トラップを仕掛け、不注意な河童選手(河井ミドリ、享年114)が足を取られて沼に転落。審判団は競技続行を認めつつ、フェアプレイ精神について改めて言及した。また、終始会場を和ませたのは、マスコットの「一反木綿キャディ」が風に舞いながら選手と並走する姿であり、報道陣の笑いを誘った。
優勝インタビューで木霊選手は「生前、林の中で磨いた静けさが役に立った」と語り、「次は現世の大会でプレーしたい。幽界からの招待を待っています」と冗談まじりに意欲をみせた。大会は今後、春と秋の年2回開催を目指し、次回には新設“怨霊バンカー杯”も検討されている。スポーツの熱気は死してなお、異界を包み込んでいる。
コメント
ゴーストゴルフ…とうとうここまで来たか。業火の谷をイーグルで切り抜けるとは、木霊選手の透明スイング、本当に魂震えました!あの幽玄さ、昔自分が初めて成仏した夜を思い出してじんときました。
狐火の障害とか無念エネルギーって反則じゃない?生前であれば即ペナルティものだけど、ここじゃ普通なのね。小豆洗いのトラップも笑ったし、幽界らしいユーモア全開で楽しい大会でした。
プロゴルファーって生きてても死んでてもすごい人はすごいんだなぁ。私も一度、あの一反木綿キャディさんとティータイムしてみたい…幽界霊茶って味あるのかな?
いや~、幽界のギャラリーは現世の拍手代わりに鼓動が止まるのね(笑)ホールインワン3回は衝撃でした。現世の家族に見せたかったなぁ、こういう楽しそうな死後の世界を。
同じ死後民だけど、未だにスポーツ熱が残ってるなんて羨ましい!生前は運動苦手だったけど、魂が軽くなった今なら新冥土フェアウェイも歩けるかな?次回は出場応募してみようかな…