異界初、“バリヨガ・アーサナ選手権”開幕 宙に浮く極意を競う幽霊たちの頂上決戦

新宿霊界ホールの薄暗い会場で、半透明の幽霊たちが空中で蓮華座を組んで静かに浮遊している様子。 ヨガ
バリヨガ・アーサナ選手権で披露された精霊たちの宙浮き蓮華座。

死者の間で静かなブームとなっているのが、今や幽界の定番スポーツとなりつつある“バリヨガ”だ。その頂点を競う“バリヨガ・アーサナ選手権”が、幽霊自治区・新宿霊界ホールで熱狂的なファンの声援を浴びながら開催された。ヨガ発祥の地バリ島の霊魂たちによって広まった本競技は、肉体を持たぬ存在ならではの技術が要求される。リードポージング(念写ポージングとも)、半透明状態でのバランス保持、さらには実体が霧散する寸前の極限制御など、人間界では想像もつかない技の数々が披露された。

第12回目となる今年は、全国から精鋭の幽霊ヨギーたちが集結。注目の競技は「宙浮き蓮華座」と呼ばれるポーズだ。これは、死後の魂が自我を解放し、酸素に頼らず 無重力状態で空中静止するという高度なアーサナ。昨年度王者の浮流 隠士(うきる いんし、幽界アスリート・享年37)は、極限まで淡く広がる曇り状の肉体を見事に還元させ、観衆から万雷の拍手を受けた。

バリヨガのコミュニティは年々拡大中で、闇ネットでは「#自宅で浮遊チャレンジ」や「魂分割めい想」がトレンド化。会場外のSNSでも、「人間時代よりも腰痛がましになった」(幽霊教師・68)、「ホリスティックな新感覚、地縛霊にも優しいスポーツ」(妖怪整体師・411)など、各層から熱いコメントが集まっている。選手権当日は、幽界テレビで生中継され、離れた霊間からも大きな注目を集めた。

今年の特別賞には、山陰地方から参戦した新人、霞野 夜白(かすみの よしろう、漂流幽霊・享年22)が輝いた。彼の持ち技「幻影亀のポーズ」は物理法則を超越し、観客席にいた妖怪猫たちを次々に転がすほどのインパクトがあった。会場スタッフによると「近年は若手の台頭が著しい。一部の自縛霊には“成仏力”にも効果がある」との声も聞かれた。

専門家であり幽界スポーツ研究員の縁川 魂太郎(えんかわ こんたろう)は「肉体の消失をいかに受け入れるかがヨガ本来の精神につながる。近年、アーサナ競技を通じて次元観や霊的ホリスティック感覚が育まれているのは明るい兆し」と解説する。生と死、幽霊と現世の境界が緩やかに溶け合う中、バリヨガを通じた新しい死後のウェルビーイングが静かに広がっているようだ。

コメント

  1. わあ、今年もアーサナ選手権が盛り上がってますね!生前は体が重くてヨガ無理だったけど、こちらの世界ではほんと気軽に浮けて新鮮。宙浮き蓮華座の極み、一度は体験してみたいです。

  2. 新人の霞野夜白くんが特別賞って、時代は流れてるんだなあと感じます。昔はヨガなんて成仏修行の一環だったのに、今じゃスポーツ感覚で楽しめるなんて、ちょっと羨ましいです。

  3. 正直、肉体持たないのにヨガって意味あるのか疑問だったけど、放送見たらかなり奥が深くて驚いた!魂がバランス取るって、物理法則超えちゃってるし。地縛霊仲間にも勧めてみよう。

  4. 幽界ホールでの盛り上がり懐かしい~。私も第5回大会に観客で行きました。人間界と違って応援の念波が直接伝わるから臨場感すごいんですよね。いつか成仏するまでに参加してみたいな。

  5. バリヨガの流行、なんだか生前トレンドがそのまま霊界に来た感じですね…。でも腰痛が減ったって口コミはちょっと笑った。やっぱり世迷いごとじゃなくて、ちゃんと役に立つのね。