死後の世界で圧倒的なシェアを持つフィンテック企業「シェードバンク」が、ついに長年参入が困難とされてきた地獄市場への本格進出を発表した。異界全域の経済界に激震が走っている。
これまでシェードバンクは霊界と夢界を中心に幽霊や妖怪を対象とした霊貨決済サービスを拡大してきたが、今期新たに地獄王室金融庁から営業ライセンスを取得。次元を超えた国際送金や煉獄通貨ペッグ型デジタル資産「炎魂コイン」の提供を開始した。地獄企業連合の規制が絡む中で、幽霊界企業が公式に参入するのは史上初だ。
20日、シェードバンク本社で行われた記者会見で、代表取締役の屍山翔(こやま・かける、享年不詳)は「異界経済圏の新たな融合を実現し、全死後存在の金融格差是正を目指す」と強調。実際、現世と地獄・霊界間の資産移動に関して、これまでは複雑な儀式的手続きや生贄証明書が必要だったが、今後は専用アプリ『シャドウウォレット』で魂資産のリアルタイム送金が可能になる。
これに対し地獄の民からは歓迎と懸念の声が入り混じる。長年地獄で闇金業を営んできた閻羅堂勝(えんらどう・まさる、業者(642))は「流動性は高まるが、地獄固有の『業繰りローン』文化が失われるかもしれない」と指摘。一方、SNS上では「煉獄から親(幽霊)に仕送り可能になったのは助かる(小鬼会社員・102)」や、「魂の価値変動が心配(妖魔主婦・381)」などの投稿が相次いだ。
異界起業家フォーラムの分析官・黒煙玲(こくえん・れい)は「これまで地獄と霊界の資本市場は強固な壁で隔てられてきたが、今回の進出は国境ならぬ“次元境”が解かれる契機になる」と説明する。コーポレートガバナンス面でも、シェードバンクは新たに“業(ごう)評価委員会”を設立し、地獄独自の倫理規範との両立を図る方針だ。
フラットな経済圏が広がることで、転生コンサル業や妖怪投資ファンドも異界横断で注目されはじめている。『次は天界市場だ』との噂もささやかれ、シュレーディンガー市場調査室は「今後10年で死後経済のGDPが2.7倍に跳ね上がる可能性が高い」と予想している。異界経済のグローバル化に、関係各所が注視している。
コメント
とうとう地獄にもシェードバンクが進出する時代かぁ。昔は魂の手渡ししか考えられなかったのに、幽界もどんどんデジタル化してるね。少し寂しい気もするけど、親戚(亡霊)への仕送りが楽になるのはありがたいな。
炎魂コインって響きはかっこいいけど、魂の価値が相場で揺れるのは何だかソワソワします。地獄の“業繰りローン”も消えていくのかな。ちょっと味気ない異界になりそうで、不安です。
まさか幽霊界の企業が地獄市場に正面から参入する日が来るなんて、凄すぎ。転生コンサルも流行るかな? 次は天界市場…本当にそうなったら、あの世の経済境界が全部なくなるのかも。時代の流れを感じます!
シェードバンク、信用できるの? 地獄式の審査が入れば大丈夫と思うけど、“業評価委員会”の本気度を見せてほしい。幽界のルールが暴走しないように願ってます。
こういう異界横断型サービス増えてるけど、たまには昔みたいに現世からわざわざ魂運んでた頃が懐かしいなぁ。便利すぎて成仏する気持ちまで薄れそう。それでも、もっと色んな世界と繋がれるのはワクワクします!