百鬼夜行フットサルカップ開幕、亡霊ピヴォが試合を支配 観客席から浮遊する応援も

霧がかった夜のスタジアムで、半透明の選手がフットサルシューズを履き、光るボールを蹴ろうとしている様子と、宙に浮かぶ幽霊や妖怪の観客たちが映っている写真。 フットサル
異界のサポーターと選手が集う冥界フットサルカップの開幕試合の一幕。

異界最大のスポーツイベント「百鬼夜行フットサルカップ」が昨夜、冥界スタジアムで華々しく幕を開けた。今年で72回目となるこの大会には、幽霊や妖怪、化け物たちで結成された全12チームが参加。会場には通常の観客に混じり、生前サポーターだった霊体や、粘性の高い未練を抱えた者たちが波紋のように浮遊し、声援と冷気を送った。

開幕戦では「幽宮パレスFC」と「骸骨グライダーズ」が激突。注目はやはり、幽宮パレスのピヴォ(中央攻撃役)、樒野蓮(しきみの・れん、享年29)。生前は地方リーグのFWだったが、死後もボールさばきを磨き続け、今や異界トップアスリートと称されている。彼は霊体特有の足を地面から2cm浮かせたまま器用にフットサルシューズを履きこなし、その姿に観客席から「透けてるのにシュート力がエグい」とSNSで話題が集まった。

試合序盤、蓮はまるで物理法則を無視したかのように、時折半透明になりながらも正確にパスを繋ぎ、ボールを相手ゴールへと導いた。また、ボール自体も死後の世界仕様で、触れると微かに冷たいオーラが手に残る仕様。実況の薬師寺烏丸(やくしじ・からすま、識者・公認フットサル解説者)は「霊的シュートは予測困難だが、審判の半分以上が霊体なので反則判定も全て直感」と冥界独特のルールを解説した。

ハーフタイムには客席の妖怪ブラスバンドが浮遊演奏を披露。徳利型の妖の指揮に合わせ、空中で自発的に膨らむトロンボーンや、魂の音色を出すオカリナが会場を盛り上げた。観客席では、明治時代から見守り続ける幽霊主婦(39)が「昔は藁草履で観戦したけど、今はフットサルシューズの霊も売っていて便利」と話し、異界のスポーツ文化の発展を実感させた。

試合は最終的に、蓮のトリッキーかつ幽玄なシュートが決まり、幽宮パレスFCが3-2で勝利。SNSでは「骨抜きディフェンスが幽体離脱」、「幽宮のピヴォは冥界のメッシ」など、深夜まで話題が絶えなかった。一方、骸骨グライダーズの主将・骨村直(ほねむら・すなお、享年42)は「負けは悔しいが、次は魂ごとぶつかる」と再戦を誓った。

大会は来週以降も各異界代表チームが順次対戦予定。観客席からは今後も、物理法則を超越した応援や新技術を取り入れたシューズ魔改造の噂が飛び交っており、この世を超えた熱戦がしばらく続きそうだ。

コメント

  1. 霊体になってもフットサルに情熱を燃やせるなんて素敵ですね!蓮選手の半透明ドリブル、昔サッカー少年だった頃を思い出してジンときました。決勝も絶対観に行きます。

  2. ピヴォの蓮さん、やっぱり浮いてシュート打てるなんて反則級では!?(笑)でも、霊体主審の勘ジャッジが入るならおあいこかも。私も応援で冷気送りに行きたかった〜!

  3. こちら側のボール、ほんとに手に取っただけでひんやり魂が震えるんですよね。生前は手汗のせいでミスが多かった自分には、最適な仕様です。異界スポーツの進化、奥深し。

  4. グライダーズの骨抜きディフェンスって、骨だからしょうがない(笑)でも魂ごとぶつかる宣言、ちょっと泣けた。次戦も期待してます。

  5. 明治時代から観戦してる幽霊主婦さんに共感!私もあの頃、藁草履で寒い中応援してたのが懐かしい……今はシューズの霊まであるとは、ほんと時代ですね。