泣き傘商会、社内起業で妖怪アライアンス構築へ 霊界ポジショニング狙う新戦略

霧に包まれた夜の冥界で、半透明の幽霊たちが不思議な傘を手に集まっている様子。 経営戦略
新しい霊体専用傘を試す幽霊たちのにぎわいが冥府中央で広がっている。

死後の世界経済に新しい波が押し寄せている。各地で急成長を遂げている泣き傘商会(本社:冥府中央)は、妖怪系企業とのアライアンスにより新たな市場創造を目指す社内ベンチャー「涙香(るいこう)プロジェクト」を立ち上げた。死後の消費者が多様化する中、独自のポジショニングと柔軟な経営戦略が試されている。

伝統ある泣き傘商会は、幽霊・妖怪向けの傘製造で長い歴史を持つ。しかし最近は、雨を理由に公務を休む幽霊層の減少や、生前未練の薄い住人の増加による“泣き傘離れ”が深刻化していた。これを受け、屋我杜慎一郎社長(享年189)が「今後は妖怪層を含む広範な異界ニーズへの対応が不可欠」とし、若手霊社員による社内起業制度を導入した。

涙香プロジェクトを率いる半透明の新規事業部長・月守楓(45)は、「百鬼夜行ユニオン」「魂送り交通」といった妖怪企業と協業プラットフォーム契約を結び、霊体専用の『憑依シェアリングアンブレラ』事業を始動。例えば、累世収集家の河童が開発協力した“濡れたまま歩ける透明傘”や、狸専務による“変身用パラソル”など、これまでにない商品ラインアップが話題となった。

「昨今、死者社会でも可視的なポジショニングが問われている。魂市場での存在感強化は各社の必須課題だが、クロス種族的なアライアンス戦略は泣き傘商会が初。古参の傘屋がここまで振り切った事例は聞いたことがない」と、霊界ビジネス評論家・薄葉夜彦(700)は評価する。

SNS上でも「新しい形の供養グッズとして興味深い」「鬼嫁が憑依してくる日にも丈夫そう」など、涙香プロジェクトへの期待の声が相次ぐ。一方で「伝統を守る声も忘れないでほしい」「雨乞い部署は大丈夫か」という慎重派の意見も散見される。泣き傘商会の新戦略が、死後の世界全体にどのようなインパクトをもたらすか注目が集まっている。

コメント

  1. 涙香プロジェクト、とうとう本格稼働ですね。百鬼夜行と組む日が来るなんて、冥府も時代が変わりました。幽界の若手、応援してます!

  2. 濡れたまま歩ける透明傘、現世では考えられない発想で面白いですな。転生後にも持ち出せたら、梅雨入り前に欲しい。魂送り交通と組むのは賢い選択。

  3. いや、ちょっと待って。伝統の泣き傘、幽霊には思い入れもあるから、妖怪向けの品ばかりにならないか心配。昔ながらの雨音が恋しいよ。

  4. 新しい供養グッズとしては面白いと思うけど、うちの家系は雨乞い部署。仕事減るんじゃっていう哀愁が…でも社内ベンチャーの霊魂は見習いたい。

  5. 魂市場トップ目指すなんて、泣き傘商会も大胆ね。妖怪たちとうまくやれるのか見ものです。最後は全員、成仏傘プロジェクトとかになるのでは?