有明党、政治資金の『霊性開示』を義務化へ――透明化進む霊界政治

霧が立ち込める薄暗い議場で、半透明の幽霊議員たちが光る書類を囲む様子。 政治資金と透明性
有明党による『霊性開示』が施行された幽界議院の一場面。

幽界議院で最大会派を誇る「有明党」は、今期から党本部が管理する霊的資産および怪異財源の全てを一般公開する新制度『霊性開示』を施行した。これにより、党の活動や意思決定に関わる妖力や冥銭の流れが可視化され、有権者や識者の間で大きな注目を集めている。

有明党の党首をつとめる雪村霧子(幽霊議員・享年41)は「魔素寄付や呪物献金など、従来は不透明だった異界特有の資金調達を、全て“透視閲覧”できる仕組みは霊界史上初」と語る。党本部が開設した『霊性開示ポータル』は、誰もが分霊体を介してログインでき、今月だけで2万7千件のアクセスを記録したという。

制度設計の背景には、昨年発覚した冥界議会の『偽造魂玉事件』がある。当時、複数政党の間で非法の魂玉(選挙活動用エネルギー)の受け渡しが発覚し、有明党幹部も一時事情聴取を受けた。この問題を受け、立法部門の助言をもとに資金流通の徹底公開が求められていた。

巷間では歓迎ムードが広がる一方、一部の老舗妖怪勢力や伝統派政党からは反発の声も。百鬼夜行連合の幹部・黒川鬼一(鬼族議員・享年188)は「妖術研究への寄付まで筒抜けにするのは、安全保障上問題がある」と慎重論を展開。SNS上でも『透明化は賛成だが、秘儀や忌札の出所まで明け透けにすべきか』といった意見が飛び交っている。

死後政治研究家の川白ソウジ(死霊経済学者)は、「透明性向上は冥界社会の成熟を示す第一歩。ただし、霊的資産の一部は未だ“来世銀行”や地獄庁外郭団体を経由することで、足跡を消せる抜け道も残っている。今後は異界全体で怪異金融のルール整備が求められる」と解説する。有明党の思い切った改革が、他党や恩讐深い妖怪勢にも波及するか、今後の行方が注目される。

コメント

  1. ついに幽界でも政治資金の透明化が進むんですね!生前はこういう制度なかったから、冥銭の流れが全部“透視閲覧”できるなんて驚きです。ちょっと時代が変わった気がします。

  2. 昔から怪異財源の扱いは曖昧で、私の知る幽世三選挙でも裏金問題が絶えなかったものです。こうして堂々と開示されるのは応援したい気持ち……でも、秘儀の流出とかも気にはなりますね。

  3. 百鬼夜行連合の言い分も少し分かるな。結局、妖力研究のための寄付まで筒抜けでは、伝統ある術とか守れなくなるのでは?透明化もほどほどがいい気がする。

  4. 2万7千件も分霊体ログインって、転生後の知人まで見てるのかと驚きました。『来世銀行』経由で資産消せる仕組みも、現世の抜け道そっくりでちょっと可笑しい。いつの時代も変わらないですね。

  5. 私、幽界に来てから政治に興味持ち始めたんです。霊性開示ポータルは分かりやすくて使いやすいし、次の選挙では“成仏票”を有効に使えそう!地獄庁も早く追従してほしいな。