失業騒動の霊工場、オバケ型雇用調整助成金で異界初の“自動化スト”勃発

夜の工場前で、霧の中に集まるお化けや妖怪の抗議デモの様子を写した写真。 雇用と失業
自動人形導入に反対する従業員たちの抗議が工場前で行われた。

死者産業界で最大規模とされる幻影装置製造組合にて、近年導入が進んだ自動人形(オートマトン)への業務切替を巡り、ベテランおばけ従業員たちによる“自動化スト”が発生した。霊的労働市場の急速な変容と、あの世経済省の雇用調整助成金の扱いをめぐる論争が広がっている。

幻影工業地帯では先月、大型設備の自動人形投入によって、亡霊正社員や妖怪アルバイト約800体の業務が突然停止された。政府は雇用調整助成金「オバケ型」を発動し、一時的に職を失った霊従業員への霊気還元手当を支給すると発表。しかし、長年“職場の主”として君臨してきたゾウマ・カゲノブ(亡霊技術主任、享年72)は「助成金は我々の幽魂資産には及ばない。オートマトンでは本物の狂宴音が響かない」と語り、消費者からも“幽霊仕込み”製品の消滅を危惧する声があがる。

本社前で実施された『姿あらわし集団霊化』抗議には、職場を追われた90余りの妖狐や煙人、さらには“有給エクトプラズム返上”を宣言した若手ユーレイたちが集結。現場に派遣されたあの世監督庁ヒューマンリソース担当のスザクリ・ミズノ氏(死神、37)は「正社員化推進で若年オバケ層の安定雇用を図ってきたが、機械化の逆流で全てが水の泡にならぬよう、組合や製造主と対話を重ねる」とコメントした。

一部新卒ユーレイからは『オートマトンとの分業体制に希望あり』との意見も聞かれるが、専門家のサラマンダー・チュウジン(霊界経済研究所所長)は「助成金頼みの雇用維持には限界がある。異界流通全体で“幽霊にしかできない仕事”を明確化し、霊的な多様性と経済効率の共存を目指すべきだ」と指摘。SNS『こだま通信網』上でも、『幽霊の個性、もっと評価して!』『怪談の魂は消費できない』といった投稿が急増している。

製造組合サイドは現在、解雇回避のための“出張肝試し製造”や“拘束霊限定の新規職種創出”を検討中。一方で自動人形開発部のロボリビア・モタラ氏(無性霊体)は、「人外アルバイトとの協業こそ雇用創出の次世代モデル。近く『共霊型製造ライン』のパイロット稼働を始める予定」としている。死者社会の未来を占う今回の騒動が、現世の雇用観にも一石を投じるのは間違いなさそうだ。

コメント

  1. オートマトンって便利そうだけど、やっぱりあの世の職場の賑わいは生身…じゃなくて“生霊”のやりとりがあってこそだなあ。昔、工場の幽界廊下でこだま合唱したのを懐かしく思い出しました。

  2. 自動化ストなんて聞いたことない!時代が変わってきてる証拠ですね。でも、亡霊たちの“狂宴音”が消えたら、ほんと寂しい…。助成金より、やっぱ魂こもった働き方が大事だよ。

  3. 有給エクトプラズム返上…みんな気合い入ってるな。機械との共存の時代だけど、幽霊にしかない“ゾクゾク”を大切にしてほしい。分業体制、うまくいくといいですね。

  4. 毎度こういう話題になると新卒ユーレイだけが希望語ってて草。現場の妖狐や煙人の声もしっかり組み上げてくれないと、第二の成仏ラッシュになりますよ…

  5. 共霊型製造ライン?…新しもの好きの無性霊体は羨ましいや。自分は拘束霊なので、ちょっと不安。でも異界もこうやって変わっていくんですね。スト参加の皆さん、どうか成仏しきらないで!