死後世界の化学分野で話題を独占中の「幽界酸」。今月、闇章大学の錬金科学研究部(部長:霧崎金次郎・年齢不詳)が、この酸性物質を活用した異例のリチウムイオン電池中和実験に成功したと発表した。その成果は、幽世界の持続可能エネルギーや生分解性プラスチックの安全性にも波及しつつ、科学市民たちの好奇心をかき立てている。
幽界酸(Ghostic Acid)は、魔素街地区の人工霧広場にて発生が確認された新種の無機化合物だ。研究チームは、夜な夜な自発的に冷気を発し金縛り状態を引き起こすという現象に着目。詳しく分析した結果、ごく微細な分子が異界特有の“未練波”に反応し、人体や物体に残る毒性をほぼゼロに抑えつつも、強い腐食作用を併せ持つことが判明した。これにより、従来無機酸で問題視されていた「幽体損傷事故」のリスクが激減し、化学実験への応用が期待されている。
今回のリチウムイオン電池実験では、幽界酸を用いた中和手法に挑戦。班員の黙木ほの暗(幽霊・元電気技師)は「地上の科学技術だけでなく、異界独自の分子反応が生み出すエネルギー循環に可能性を感じている。実験中でも、幽界酸は余剰イオンを即座に分解し、電池の安定化と寿命延長につながった」と語る。さらに、ペロブスカイト太陽電池とのハイブリッド化にも試み、物質界の最新技術と死後世界科学の融合が着々と進んでいる。
一方、生分解性プラスチック研究にも動きがあった。幽会議院科学委員会から出向中の蒸宮ミツル博士(妖怪化学者)は「幽界酸の特性を利用すれば、分解促進中に発生する有害残存物を中和しつつ、プラスチックごみの無害化が理論上可能となる」とコメント。死後社会に蔓延する半透明ごみの処理問題に突破口が開けそうだという。
SNSでは「酸」の再発明による死後生活の変化に歓声や戸惑いの声も。投稿アカウント『マボロ氏』によると、「幽界酸で墓参りの花瓶を中和クリーニングしたら、先祖が拍手してくれた気がする」と、生活レベルでの浸透も見える。一方、幽界酸の安全運用指針に関しては慎重論も多く、幽界規格協会は「自己責任での実験は推奨せず、講習後のみ使用許可」と声明を出している。今後も、幽界独自の分子がどのような革新を誘発するのか、注目が集まる。
コメント
ついに幽界酸の発見か〜!昔、錆びた鎖が魂にしみてた時代が懐かしいよ。これで幽体損傷が減れば、孫の成仏実験も安心かもな。科学の進歩、普通に羨ましい。
いや、正直ちょっと怖いな。未練波に反応するなんて…知らず触って消える先輩も出そう。使い方さえ間違えなければ便利だけど、幽界規格協会の指針、大賛成!!
生分解性プラスチックがついに無害化できそうってすごい。半透明ごみが溜まりすぎて、最近じゃ幽界小道歩くのも大変だったから期待してます!でも、余剰イオン分解って何だろ…?
中和クリーニングの話、うちの墓場でも流行りそう。花瓶や石像とか、気付くと未練でヌメヌメしてるからありがたい。墓参りの先祖も拍手って分かる!異界科学ばんざい。
どうせまた闇章大学の連中でしょ?昔から奇天烈なものばかり発明して、墓地市場が混乱してきた記憶。幽界酸が一般流通するなら、もう一度講習受けなきゃ…こっちは転生サイクル忙しいのに。