死者界経済で広く流通している“ファントムポイント”が、予期せぬ大幅暴落に見舞われている。魂の移動や霊具の購入、冥界投資にも用いられ、家計の生命線ともされるこのポイント経済の異変が、冥民たちの消費行動や暮らしに波紋を広げている。
幽霊銀行連合会による最新統計では、ファントムポイントの対ゴーストコイン比率が過去10年で最大の下落幅を記録。墓場マイレージや霊魂ショッピングモールの還元率も相次いで改悪され、人気の副業「供養レシート集め」で稼いだ不労所得さえ目減りが著しい。会社員の三谷歩霊(42・死後8年)は「生前よりもインフレに敏感になった。最近は“お彼岸セール”も値上げの嵐で、あの世入り立ての新米霊体には厳しい」と嘆いた。
この背景には、満月決算でのポイント無制限発行と、ソウルインベストメント庁認定の“幽界NISA”への大量流入があると考えられている。とくに霊界Jリート(不動産信託)の“墓石転がしファンド”が一斉償還されたことが、ファントムポイント需要の逆風となった。「不動産系は鎮魂トレンドと相性が悪くなった。最近は骨壺シェアハウス投資も利回りが不透明」と専門家の甲斐道風(霊界エコノミスト)は分析する。
物価全体も悪化の一途をたどっている。霊的エネルギーを糧にする異形族自警団の話では、今年の幽冥米(ユーメイライス)は3割値上げ。賽銭アプリのポイント還元制も縮小される見通しで、アクティブな死後副業層ほど打撃は大きい。SNS『アノヨノ窓』では「もうポイントで供養菓子が買えない」「次は現物投資に戻ろう」との投稿が急増、家計引き締めを余儀なくされる冥民も珍しくない。
一方、意外な恩恵も見られる。魂冥界商工協議会代表の妙蓮寺権吉(死神)は「一時的な混乱は必ず起きるが、ファントムポイントが溢れすぎていた。今後は還元策の見直しや新たなポイント連携、副業の多様化で静かな消費回復も期待できる」と穏やかに語る。また、地獄界で密かに台頭する“鬼玉ポイント”など新興通貨への乗り換えも選択肢として注目を集めている。激動の死後経済、今こそ冥民の知恵と工夫が問われている。
コメント
え、ファントムポイント暴落って本当だったの!?この間せっせと供養レシート集めたのに、もう価値目減りか…あの世も油断できないねえ。やっぱり現物供養菓子ストックしておくのが一番?
生前は株に泣き、死後はポイントで泣くとはな。賽銭アプリの改悪も予想してたが、ユーメイライス高騰は正直きついぜ。そろそろ鬼玉ポイントに手を出す頃合いかな。
あの世に来てからも経済の波に揉まれるとは思いませんでした…墓場マイレージで旅行しようと貯めてたのに計画が狂いました。新米幽霊には生前より厳しい時代です。
満月決算でバラまきすぎてたんだし、ちょっとくらい調整は仕方ないよね。ポイント祭りの頃は楽しかったけど、これからは地道に冥界副業でコツコツ稼ぐ時代なのかな。
墓石転がしファンド、一時はウワサになってたけど、やっぱりバブルだったのか…鬼玉ポイントも気になるけど、どうせすぐ幽霊銀行が手を出してくるんだろ?異界経済は信用できん!