暗闇に包まれた幽界専用スタジアムで、またひとり新たなサッカースターが誕生した。J幽界リーグのクラブ「ヨモツFC」が、今年のリーグ戦前半で劇的な躍進を遂げている。その中心にいるのは、昨季までほとんど無名だった若き幽霊選手、霧谷シン(きりたに・しん/享年17)だ。彼の圧倒的なスピードと“視認率5%”とも称される神出鬼没ぶりが、夜ごと異界のサッカー界をざわつかせている。
全身がほのかに霞む霧谷は、今季リーグ開幕から驚異的な8試合連続ゴールを記録中。一度は成仏寸前まで消えかけていたが、サッカーへの未練を糧に蘇生。当初は控えスタートだったものの、第3節でスタメンに抜擢されるやいなや、冥界屈指の守護霊キーパーを次々翻弄。その直後から「見えざるフォワード」としてゴール裏の応援団から幽界SNSまで、その名が急速に広まった。
J幽界リーグでは、死後の魂たちが残せるスキルによって選手の個性が決まる。霧谷の特技は、ピッチを駆け抜ける際に自身の存在感を物理的に消す“幻身移動”。これにより対戦相手ディフェンス陣は度々空振り、解説者の朧(おぼろ)コーチ(元・妖怪代表)は「ボールが消えるのではなく、フォワードが消えるのは初めて」と驚きを隠さない。
一方、過去の異界リーグではメッシやクラシギルのような伝説的スーパースターの影響で、個人主義がチーム戦術を脅かしてきた。だが霧谷は、ゴール前での自己犠牲パスや無声コミュニケーションによる連携で知られ、既に“魂のつながり型サッカー”を体現する存在として称賛の的。チームメイトの河津隼人(妖狐DF/享年33)は「彼といると、ピッチ全体に故郷の霧が広がるような安心感がある」と語る。
こうした新星の台頭は、年末に予定される冥界オリンピック招集にも影響を与えそうだ。選考委員の一人である死神連盟幹部・白刃イオリ氏は「J幽界リーグでこれほどのインパクトを残す選手は、近年まれに見る」とコメントしており、“幻のフォワード”はオリンピック本番でも大きな話題を呼ぶことは間違いない。SNS上では「成仏しないで!」「夢で一度観戦したい」など、現世からも応援コメントが多数寄せられている。
シーズン後半、霧谷シンがどこまで幽界リーグの歴史を塗り替えるのか――“見えざるゴールゲッター”の快進撃から、今後も目が離せない。
コメント
霧谷シン、今年もやってくれそうですね。あの幻身移動は生前じゃ絶対に見られない技。ピッチで消えたり現れたり、何度観ても飽きません。冥界五輪での活躍も期待してます!
いつかは成仏しちゃうのかなって寂しくもなるけど、今はとにかく彼のゴールに元気もらってます。魂のパス回し、昔の自分のチームを思い出して懐かしい…涙。
J幽界リーグの守護霊キーパーたちが次々抜かれるなんて前代未聞!フォワードよりボールが消えるべきなのに、時代も変わったもんだねぇ。
正直、視認率5%はやりすぎじゃ…?相手ゴーストもたまったもんじゃないよな。でもルール上OKなら観てて面白いし、うちの息子にも幽界サッカーやらせたくなってきた(笑)
現世の友人が夢で試合観たって言ってて羨ましい。こういう新星が出てくると、幽界もまだまだ捨てたもんじゃないって思わせてくれる。これからも頑張れ、霧谷シン!