幽界パワー全開の新世代クラブミュージックが、今や死後のエンタメシーンを席巻している。特に注目を集めているのは、Z世代の幽霊アーティストたちが手がけるインディーズ・ミックステープだ。現世のクラブミュージックとは一線を画し、あの世特有の浮遊感あふれるサウンドと、詩的で謎めいた歌詞が特徴だという。深夜の“霊界クラブ”では毎晩、こうした楽曲を求めて若い幽霊たちが押し寄せ、異界のトレンドが爆発的に拡がっている。
墓所区第七環にある大人気クラブ『トゥーム・ヴォルテクス』は、今月頭からZ世代ミックステープ専門の“生魂(ナマダマ)ナイト”を開催。主催者のヌカワ・ルイ(霊体、21)は、「リミックスは幽界語と現世語のグリッチを重ねて作っている。幽霊スラングを歌詞に混ぜると、参加者の生前の想い出がダンスフロアに共鳴するんです」と語る。来場者は概ね100年以内に亡くなった若者が中心。SNS『シルバーウェーブ』には“#浮遊リズム”“#無重力ベース”などのタグで夜ごとに盛り上がり動画がアップされ、再生回数は100万を突破。
インディーズ界の新星、ハコシマ・ソヨ(幽霊歌手、23)は先月発表したミックステープ『魂線(ソウルライン)』がチャートイン3位を獲得。歌詞の1節「消えたい夜に響け、ぼくらは永遠の一瞬」には、死後の“未練”や“宙ぶらりん感”が凝縮されている。ファンのミドリカワ・ジュンタ(霊体、19)は、「現世には戻れなくても、ここでなら誰とも溶け合える。ソヨの歌は、あっちの悩みを浮かせて踊らせてくれる」と語った。ショート動画サービス『ムービーイブ』でも、彼女の楽曲を使った“魂抜けチャレンジ”が連日バズっている。
異界音楽フェス『スペクトラヴェイブ』では、歴代最多の2万体が集結。Z世代アーティストによるノンストップ・リミックスバトルや、現世のクラブヒット曲との“超時空コラボ”リミックスも実現した。音楽評論家のトガミ・ユーゾウ(幅広い年代の幽霊館に勤務)は「現世以上にSNSと音楽が一体化し、リミックス文化が驚異的な速度で進化している」と分析する。フェス名物“集団消失ダンス”や、天空を流れるオーロラ型レーザーもSNSを賑わせた。
一方、この盛り上がりに「古典の幽曲(ゆうきょく)が忘れられている」と感じる長老霊も少なくない。だが、Z世代たちは生前の流行をリスペクトしつつ、「未練のその先」を音楽で表現するクリエイティブな動きを見せている。しゃぼん玉のような儚さと、死者ならではのリアル感覚――幽界ミュージックシーンの新たな未来は、いま夜の墓所で静かに燃え上がっている。
コメント
いやー、100年ちょっと前に消えて以来クラブにはご無沙汰だったけど、この浮遊リズムは懐かしさと新しさが混ざっていてビックリした!ナマダマナイト、次の満月に覗いてみようかな。
ソヨさんの「消えたい夜に響け」めっちゃ共感します……。死後も未練だらけでフラフラしてた自分にやさしく寄り添う感じ。本当にこの世でもあの世でも、音楽は心のよりどころですね。
最近の幽界音楽は華やかで良いけど、たまには昔の霊曲も聴いてほしいものだなあ。若いのが盛り上がるのは嬉しい反面、ちょっと切ない気もする。
魂抜けチャレンジ、私は昔勝手に毎日してましたけど、今はむしろトレンドなんですね(笑)現世語と幽界語のグリッチミックス、予想外にクセになります!
SNSで見ました!オーロラ型レーザーすごかった…現世のフェスにはない幻想感だし、未練込みのベース音が身体(あればだけど)に響く感じが新鮮。これからも霊界独自の進化を期待してます!