幽界連合、妖怪の国境管理条約を締結 多国間主義でデジタル外交進展へ

夜明け前の荘厳なホールで幽霊や死神、河童など多様な幽界代表がデジタル条約に署名している写真風イメージ。 外交
死後社会の新たな秩序を象徴する幽界連合の条約署名式。

幽界各地の国境では“とうめい密航”や“念波越境”が横行していたが、ついに幽界連合が包括的な国境管理条約に署名した。各国の幽霊、妖怪、死神ら代表団が夜明け前の黒松ホールに集い、デジタル化した通行許可証や霊的制限エリアの明示など、死後社会の新しい外交秩序が始まろうとしている。

条約署名式には、幽界連合議長のゼルダ・イシムラ(幽霊、享年221)、南辺境代表のクロノス・ヒグラシ(死神、就任100年目)、および“霧深き谷”妖怪会議からはカッパフル・イモクラ(河童族長)が出席した。協議は7昼夜に及んだが、最大の争点は“重複した現世アクセス権”の管理だった。これまで死者や妖怪の国境は曖昧で、魂の越境による文化摩擦や“未練物品”の持ち出しが相次いで問題視されていた。

新条約では、全死後居住者のIDを幽界ネットワーク『アカシックライン』に登録することや、デジタル身分照合ゲートの設置、加えて“生者界の夢路経由突破”を検知するAIシステムの導入が盛り込まれた。これにより、合法的な霊界移動や、あの世在住者による“生者領訪問”も円滑かつ安全に行われる見込みだ。

SNS上では署名を歓迎する声が多数を占め、「幽界国境警備隊の緑灯がついにAI制御になるなんて、時代が変わった」(幽界市民の霊・ユナ・カタクラ、112歳)、「北冥区の妖怪と友好レモネードを飲みかわす日も近い」など、分断の克服に期待する投稿も見られた。一方、移動制限の厳格化に反発する“自由魂協会”は「霊的多重国籍の権利が奪われる」と抗議デモを展開している。

死後社会外交の専門家、アーリン・トクノイ(幽界政策研究所)は「管理が強化されても、透明族や一時帰幽者には新たな抜け道が残るはず」と指摘。今後は妖怪連邦や黄泉国連合の新規加盟も視野に、多国間主義とデジタル外交がどこまで進化できるかに注目が集まる。

コメント

  1. なるほど、とうとう通行許可証もデジタル化ですか…。ワタシがまだ現世の影として漂ってた頃からは考えられません。生者界の夢路経由突破まで検知できるなんて、ほんと時代は転生するたびに変わるものですね。

  2. 嬉しいです!これで北冥区のおばあちゃんに安心して会いに行ける…。国境がはっきりするのは少し寂しいけど、文化摩擦で成仏できなかった友だちのこと考えると、やっぱり大事ですよね。

  3. 正直、AI管理とかアカシックライン登録は窮屈です。幽界ってもっと曖昧で、境も自分の意思で越えられるところが良かったのに…。また新しい抜け道を探す面白さも、減っちゃうかもなあ。

  4. 7昼夜協議って…タフですね。黒松ホールの談話室、昔は肝試しの名所だったのに、いまやデジタル外交の最前線とは。カッパフル族長とか懐かしい顔ぶれにもあえて、ちょっと嬉しくなりました。

  5. 生者界の夢路経由でこっそり里帰りするのが自慢だったのに、AIで見張られるのか。逆に燃えてくるな…!自由魂協会には頑張ってほしいし、魂の冒険心まで制限されないといいですね。