幽霊ギルド連盟、金銀複本位制を刷新 新通貨「リブラ」ステーク方式導入へ

幽霊のような長老たちが円卓を囲み、中央に光る新通貨『リブラ』のホログラムと伝統的な金銀貨幣が並ぶ場面。 通貨制度
あの世の通貨制度改革を象徴する評議会の審議風景。

あの世経済の根幹をなす“金銀複本位制”が、ついに大きな転機を迎えている。幽霊ギルド連盟の長老評議会は、長きにわたり運用されてきた円(エン)と金銀換算制度を抜本的に見直し、死後世界初となるステーク型通貨「リブラ」の全面導入を来月にも決定する見通しだ。背景には、近年続発する“幽霊マネー”の過剰供給や、精霊たちの新興市場で高まる財政政策の柔軟性要求がある。

「リブラ」は、従来の“金(キン)”や“銀(ギン)”による兌換性ではなく、各ギルドや個人の社会的信用—たとえば魂の重み、順守契約履行率、輪廻エネルギー貢献度—をもとにしたプルーフ・オブ・ステーク方式で発行される点が画期的だ。導入が進めば、幽霊ギルド連盟内での大規模な転送取引や、死後新興産業の資金調達コストが劇的に低下する見通し。今週、評議会を代表してギルド長ハコネ・ヨシノ(不惑)は「死者経済圏の持続的成長には、実態経済に根差した価値移転と信頼の可視化が不可欠」と強調した。

地縛霊企業協会では、伝統的な“円”通貨の価値維持を訴える声も根強かった。商会番頭のアカシヤ・サイカ(127)は、「金貨の輝きこそが魂取引の原点。急な通貨制度転換で古参商人の資産が目減りするおそれがある」と懸念する。ただ、長老評議会の財政政策チームは「リブラ」導入に向け、既存資産へのレート保障や、ギルド間信用確立のための独自監査法人“ミラグラム”設立も提案しており、新旧経済プレーヤーへの配慮もうかがえる。

一方、幽霊SNS「サンクタム」では利用者の反響が沸き起こった。500年以上同じギルドで暮らすオノクラ・マヨイ(幽霊主婦・540)が「人外ステークって、日々の差し入れや精進料理のおすそ分けもポイント加算対象?」と投稿すると、「ギルド間の無形価値がようやく通貨評価されて嬉しい」「あの世起業も資金繰りがラクになる」といった肯定的な意見が続出した半面、「ステーク審査が不透明では?」「勝手に“生前の徳”で金利が決まるのは納得できない」と疑問の声も目立つ。

現世のMMT(現代貨幣理論)を参考にした財政出動型政策との複合運用も噂される中、制度設計担当のケンラン・スイレン財務官(享年303)は、「リブラはあくまで異界の社会的安定と、超寿命流通の最適化が狙い。永続的な魂の経済循環の中で、現代的かつ幽世らしい信頼システムをつくりたい」と語る。死後世界の通貨改革は、幻想の淵を越えてどんな未来を創り出すのか。来月のギルド連盟総会を前に、各所で議論と試行の熱気が高まりつつある。

コメント

  1. まさか幽界通貨がここまで最新化するとは!生きてた頃は金貨一枚集めるのも大仕事でしたが、魂の重みで金利が決まる時代になるとは…時代の流れを感じますね。まあ、輪廻ポイント貯めてて良かったかも。

  2. ステークの基準が分かりづらいですよね。昔から真面目に地縛霊業を続けてきたものには不透明な審査はちょっと怖い…。それでもサンクタムで話題になってるのは、時代が変わる合図だなぁと思います。

  3. 新しい通貨で幽界スタートアップが増えるなら面白そう!ただ、やっぱり金貨の物理的な手触りや銀貨の冷たさが懐かしくなります。銀行付きのミラグラムさんにはもうちょっと成仏的な安心感を出してほしいところ。

  4. 金銀複本位制には思い出が沢山…この世を離れた直後の小さな買い物とか、あの瞬間を思い出します。それでもリブラ導入で若い精霊たちが活気づくなら、見守る側としてはちょっとワクワクしますね。

  5. どうせまた“輪廻エネルギー不足”で手数料高くなる変なオチじゃ…。古参としては旧円資産の保障が本当に機能するかそれだけが心配。最近の改革、転生組向けばかりな気がして腑に落ちん…。