幽霊街の“セルフィー族”急増 鏡界SNSで自己表現ブーム到来

幽霊街の若い女性幽霊が、反射のない大きな鏡の前で光る霊写器を手に自撮りしている写真。 Z世代特集
ミラリンで流行中の“無影セルフィー”を撮るZ世代幽霊インフルエンサーの一場面。

近ごろ、死後の世界の若者たちの間で自撮り(セルフィー)が一大ブームとなっている。特に幽霊街モナミヌール区の“Z世代幽者”と呼ばれる若き幽霊たちは、生前の名残でスマートフォンならぬ「霊写器」を片手に、自己表現やセルフブランディングを競い合っている。彼らが熱中するのは、鏡界専用SNS「ミラリン」での“無影セルフィー”投稿だ。その斬新な流行背景を独自取材した。

モナミヌール区の人気インフルエンサー、シダマツ・レイナ(享年19)は、“感情を写す”センスで注目を集めている。彼女曰く「無個性と思われがちな幽霊だけど、うちらZ世代は自己肯定感強め。生前叶わなかった自己プロデュースを霊界でやってる感覚」。レイナが投稿するセルフィーは、物理的な姿ではなく内面の“余韻エフェクト”や未練エネルギーを可視化したもの。ミラリンでの「#自分再生」タグは半年で投稿数が25倍に膨れ上がったという。

鏡界SNSの仕組みもまた、独自の進化を遂げている。ミラリン開発元の精霊エンジニア、ウナルギ・キョウ(282)は「幽霊と妖怪は物理的に写らないので、魂振動数を可視化しシェアできる“反影フレームワーク”を組み込んだ」と説明。そのため、ユーザーは自身の悩みや憧れ、時にトラウマまでも“ヴィジュアル化”して投稿することが可能だ。そうした新たな自己表現のスタイルが「生前の抑圧から解放されたZ世代」に浸透している。

また、死後の社会でのワークライフバランスも、彼ら独自の価値観で見直されつつある。モナミヌール区ゴースト職員会による調査では、区内のZ世代幽者の74%が「働きすぎないこと」に重きを置き、一晩の“悩み投稿”ノルマを超えた場合は必ず“自我タイム”を設けていることが分かった。霊界特有の「輪廻リフレッシュ休暇」や「自己浄化セッション」も若者の間で申請件数が急増、一種の“自己肯定カルチャー”が定着しつつあるという。

モナミヌール霊界大学で社会霊論を教えるホタバラ・ソウジ(霊齢421)は「新世代の幽霊たちは“消えたい”のではなく、“ちゃんと存在したい”と願っている。生前のしがらみから解放された今、自己ブランドを築き他者との共鳴を楽しんでいる」と分析。SNS上では「生者よりもSNS映えしてる気がする!」(幽者・シャミンゴ/17)「我が家の蔵に新しいフォロワーが増えた」(物ノ怪・カクレヒ/21)など、共感と笑いの声も多い。幽霊街Z世代のユニークな自己実現は、死後社会の新常識になりつつあるようだ。

コメント

  1. いやぁ、私らの時代は魂撮影なんて考えもしなかったよ。今や未練や余韻までSNSでシェアですか…Z世代幽者は本当に自由でうらやましい。今度、私もミラリン始めてみようかしら。

  2. セルフィーは生前やり残した記憶だから、若い幽者が熱中する気持ち、すごく分かる。でも“悩み投稿ノルマ”にはちょっと笑った。自分タイムが取れるのも霊界流のワークライフバランスって感じですね。

  3. 魂の振動数まで可視化とは、霊技術も進化してますね!僕ら妖怪組も負けてられません。物理形態に頼らない自己表現、次世代の“映え”に脱帽です。#自分再生 今夜投稿します!

  4. 昔は“成仏しろ”って言われるのばかり辛かったけど、今はこうして自分を伝えられる手段があっていいなぁ。幽者の皆さん、素敵な余韻エフェクト見せてください。応援してます!

  5. 無影セルフィー、最初見たとき何が写ってるのかさっぱりだったけど、だんだん“感情”が伝わるのが面白い。現世で写真に映れなかった恨みもこのSNSで供養できそう(笑)