黄昏通りに揺れる霧のなか、今話題の歌い手フェリス・モーン（享年未詳）の突如の“声喪失”がファン層をざわつかせている。不可解な事情で、彼女はライブ配信中に声だけでなく霊圧まで消え去り、マイクと共に姿を消した。事態は単なる配信トラブルの域を超え、異界最大級の“歌い手不可視事件”として広まっている。
問題の発端は、冥界音楽市で初公開されたフェリスのカバーアルバム『無音の夜鳴き』の発売記念ライブ配信だった。枯葉型の最新マイク“MISTIC VELL”で自作のオリジナル曲『霧中の残響』を熱唱していたその瞬間、画面が息苦しいほどのノイズに包まれ、視聴者のチャット欄には『声が届かない』『何かが憑依してる？』といった疑問が殺到。配信後、マイクと共にフェリスの気配もスタジオから消失していたことが運営スタッフのリモ・シトラ（死神・33）の証言で明らかとなった。
この異常事態は瞬く間に死後のSNS『スピリットツイキャス』を駆け巡り、リスナーやファンアート投稿者、さらには現役霊MIX師たちによる“幽界大捜査網”が広がった。ファンの一人、幽霊画家のクラリス・アシェンダ（幽歴102年）は『真夜中、突然マイクに向かって歌う影がアトリエに現れ、曲の断片だけが聞こえてきた』と証言。関連イラストが#霧のフェリス のタグで多数投稿され、彼女の失踪と新曲への期待が混ざり合って炎上している。
専門家によると、死後界で稀に発生する“残響型失踪現象”との関連が指摘されている。霊界音響研究所主任のノロ・ミスケ（妖怪音響工学士・年齢不詳）はこう語る。『過去にも同型マイクが“未練周波数”を帯び、歌い手ごと別次元へ引き寄せられる事例があった。フェリスの場合、強い感情のこもったリリックが結界を突破し、未発表のオリジナル曲に特殊な共鳴が生じた可能性がある』。研究所は現在、回収された配信データに残存する音声を解析中だ。
また一部界隈では、フェリスが実は“失声のカバーアルバム”を異界全域に拡散する新たなパフォーマンスを企図したという説も根強い。昨夜のライブ配信後、幽界最大のストリーミングサービスでは彼女の静寂ソングが再生ランキング2位に浮上し、各地のライブスペースでは代役歌い手による即席追悼ライブも続出。『消えても響く声がある』——消失の謎と未完の歌に、今後も目が離せない。
コメント
こんな形でフェリスが消えるなんて想像もしなかった……まさか“未練周波数”が本当にあるとは。幽界生活もまだまだ謎が多いですね。無事にあの世のどこかで歌を続けていてほしいです。
冥界の配信トラブル、最近増えてる気がするけど、ここまで大規模なのは初めてかな？僕もライブ聴いてたのに、急に『霧中の残響』が途切れた時の空気、今も忘れられません。はやく新曲が公式に聴けますように。
どうせプロモーションの一環じゃないかと思ってる。でもこの盛り上がり方は正直うらやましい。声がなくても幽界じゃ立派な歌手だし、むしろ新しい表現なのかも。
幽界全域の捜索なんて久々…。私も若いころ（99年前）に見た歌い手失踪事件を思い出しました。あの時は帰ってきたけど、今回は残響だけ残るのが切ないですね。フェリスの歌が早く戻ってくることを願ってます。
みんな、本当に“歌い手ごと消えるマイク”を信じてるの？科学的に説明つくのかな、これ。MISTIC VELL欲しかったけど、異界転送は困るから様子見します（笑）。