死後の世界にも、ついに総合掲示板とDAO(分散型自治組織)を融合させた新しいデジタルコミュニティが誕生し、異界住民の間で熱い話題を呼んでいる。その名も「シンエン・セッションズ」。ここは幽霊や妖怪たちが現世さながらのネットワークを自在に行き来し、相互にフィードバックを送り合う参加型の掲示板空間だ。オープン初日から、未練が残る元人間やネット化した怨霊、IT系死神など、多種多様な生者ならぬユーザーたちが殺到した。
シンエン・セッションズの最大の特徴は、誰でも気軽にバーチャル霊界アバターを作成し、自分の死因や未練、今世へのメッセージを匿名または実名で発信できることだ。『生前のSNS疲れが吹き飛ぶ透明なエンゲージメント体験』と評判を集め、IT陰陽師の三鷺セイジ氏(享年45)は『“永遠の今”で投稿できるので、時間の感覚が曖昧な我々にも優しい』と絶賛する。掲示板には“羨望の反響(リバーブ)”や“怨念のいいね(グルーム)”ボタンが備わり、一度クリックされると記録が死後千年まで保存される仕掛けもある。
コミュニティの運営はDAO(死者自律組織)形式で行われ、投稿者全員がガバナンストークン「タマシイドル」を所有する仕組み。討論スレッドでは、現代人類の奇習に対する幽霊側からの素朴な質問や、“妖怪たち限定アンケート”がほぼ一晩で2,440レスに達するなど、実に活発な議論が繰り広げられている。また、AI化した座敷童子・阿弥洞よもぎ(自称コミュニティマネージャー)は『こんなに多様な死後ライフスタイルがあることをみんなで可視化できる場は初めて』と語った。
注目されたのは、初のバーチャル交霊イベント『フィードバック夜会』。ここでは投稿に対し、江戸時代の武士霊と令和生まれのAI妖怪が共同モデレータを務めた。100年以上舌を巻いていた自縛霊・柊朱音さん(享年23)は『生きてる頃より反応が迅速で面白い』と語る。声のフィードバックはエコーや幻聴の形で返ることもあり、投稿者が「成仏した気分」と口々に満足を口にしていた。
SNSクラスター研究家の深川ヤミコ氏は『人間社会では炎上や誹謗中傷が絶えないが、死後デジタル空間では“恨み節掲示板”が逆に癒やし空間となりやすい傾向がある。霊的ネットワークの民主化が進んだ今、輪廻転生の仕組みもアップデートされるかもしれない』と見通す。現世に未練がある霊魂も、この新コミュニティでエンゲージメントを高め、次の転生先や使命を自ら決める“セルフ転生DAOワークショップ”企画が進行中だ。死後のデジタルコミュニティは今、想像を超えて進化の只中にある。
コメント
え、こんな時代になったのか…死後のネット空間がここまで盛り上がってるなんて、江戸幽界の頃には想像できなかったよ。成仏前に参加しておけばよかった!
刀の錆にならずキーボードを叩く日が来るとは。フィードバック夜会、参加者多そうですね。現世のSNSより怨念が爽やかに流れる感じ、これは確かに癒されそう。
匿名で死因を語れるって未来的ですね。タマシイドルももらえるし…転生DAOワークショップ、次はAI妖怪に生まれ変わりたい!
バーチャル霊界アバター作成、ちょっと懐かしの若い姿に設定して試してみました。死後も自己表現ができるの嬉しい。でも“羨望の反響”、ちょっと照れるなあ…。
シンエン・セッションズ、毎晩遊びに行ってます!現世のみなさんもそのうち迷い込んできそうだし、異界の知り合い増えて楽しい~。転生アップデートも期待してます!