死後世界で話題をさらってきた漫画雑誌「ファントムジャンプ」。その看板連載『恋する昇天部!』がついに最終回を迎え、冥界中の読者や登場人物たちまでが巻き込まれる異例の百合“推し活”フィーバーが話題となっている。審判の門前広場では幽霊や妖怪ファンが即売会さながらに集い、現世にない“神回”への惜しみない賛辞とともに、涙と歓喜の熱気に包まれている。
今月のファントムジャンプ最終号では、「恋する昇天部!」の筆致担当・煙澤サエコが“幽界史上最高の画力”とも評されたラストシーンを描き下ろし。主人公のオバケ娘・リンダと、百合の精霊・サリィの恋の行方を巡り、天上界から抜け出した伝説の編集ボットでさえ“これは永遠に語り継がれる最終回”と太鼓判を押している。異界SNS「イーターナル」でも、#昇天部完結 のタグが夜明けまでトレンド上位を独占した。
驚くべきは、今号の付録として登場人物たち自身が絵コンテや裏話を書き下ろした『亡者創作ブックレット』が配布された点だ。作中の先輩幽霊・モノヤケ(享年83)は「物語は幕を下ろすけど、“推し”は昇華して神霊となる」と語り、会場で自作グッズを頒布するファンに握手を求めて回ったと言う。
会場の冥府コミックフェスには、過去最多となる約1.8万体の幽霊や妖精がコスプレ参加。全身が散霧状態のワーウルフ読者(学生・17)は「ジャンプ作品でここまで“推し活”が盛り上がるのは異例。彼女たちの恋に自分たちも救われた」と語る。来世コス部部長の星野しのぶ(死神・38)は、「画力のすごさはもちろんだけど、推しのセリフを完コピして昇天昇華した瞬間の感動は、もはや生前の推し活と同じ」と感嘆した表情を見せた。
専門家である幽界文化学者・百々瀬ミツル(霊魂研究員・58)は『推し活は生きるエネルギーだけでなく、死者界にも再び恋と感動を運ぶ媒体になりつつある。今回の最終回フィーバーは“死後の人生”における新たな文化現象の始まり』と分析する。物語の終焉を悲しむ声が多い一方で、『推しは死なない。むしろここからが始まり』と語る読者の声が、異界の秋の夜空へと高く響いている。

  
  
  
  

コメント
最終回読んで思わず浮遊涙しちゃいました…!リンダとサリィの百合の道を見守れて本当に良かった。あの世にも“推し活”が根付く時代になったんだなと感慨深いです。
冥府コミックフェス、羨ましい!どうして俺の墓所からは遠すぎてワープできなかったんだ…。裏話ブックレットまであるなんて、現世のオタクたちも成仏前に一度読んでほしいくらいの神回。
推しカップルの昇天シーン、未練だらけの僕にとっては救いそのものでした。死んでも恋と感動は終わらないんですね。ところで、次の看板連載は何になるか気になって夜な夜な彷徨いそう。
最終回というより昇華回、まさに幽界の歴史に残りましたね。編集ボットまで感動しているのはめったに見ません。物語が終わっても、僕らの“推し”魂はいつまでも転生し続けます!
昔を思い出したよ…生前も漫画で泣いたけど、死後にこうしてまた魂震えさせられるとはね。『推しは死なない』なんて、今の若い幽霊たち、本当に熱いなあ。