冥界初の“ジャンル併せ”祭典、百鬼コスプレフェスで異界と現世が交錯

冥界の広場で、幽霊や妖怪たちが豪華なコスプレ姿で集まり、霧と提灯の灯りに包まれている写真。 コスプレ文化
幻想的な冥界コスプレフェスの熱狂が一夜を彩った。

亡者と妖怪、精霊たちの間で、かねてより秘かに盛り上がっていたコスプレ文化がついに集大成の瞬間を迎えた。今月、オルビス下層区の幽冥広場にて、冥界初となる大規模“ジャンル併せ”コスプレフェス『影装祭〜シャドウアンタッチャブル〜』が開催され、観衆と参加者合わせて8000体以上が詰めかけた。現世と異界、伝承とオリジナル、種族も死生も超えた仮装の数々が一夜限りの幻想舞台を彩った。

主催者である若き怨霊アーティスト、葉蔦ラギエル(永遠の21歳)は、開催への熱い想いを語る。「亡霊や妖怪にも“なりたい自分”がある。普段は怖がられる私たちだけど、今日は好きなキャラクターや思い描いたオリジナルの姿になって、互いにリスペクトし合う場所が作りたかったんです」。街道沿いの石像ゴーレムや、岸辺に浮かぶ幽霊娘たちも続々と参加し、それぞれ自慢のウィッグや手作り衣装、そして死後のメイク技法を披露した。

今年のトレンドとして注目されたのは、“男装”ジャンルで話題の亡国騎士シリーズと、伝説の鬼火キャスター・カグツチをテーマにしたジャンル併せだ。男装幽女のグループ「蒼黛ノ夜波」は、見事な鎧メイクと重厚な剣を携え、地獄組のオーク騎士団ともコラボレーション。SNS「モヤログ」では、「五感ゼロでも推しを感じる霊感コス最高!」「魂のある衣装はオーラが違う!」といった声が飛び交った。

さらに初挑戦となった“異界ロケ”も注目的だ。霊界出身のフォトグラファー、灯籠ユグナは、「地獄湖の霧や、黄泉坂の風景を背景に撮影することで、闇夜でも映える写真が狙える」と語る。参加者の間では、立体化粧を施した半透明フェイスや、冥界特有の“浮遊ヘア”用ウィッグが人気を博し、実体の有無に関係なく個性を競い合ったという。

イベント終盤、魔王クラスの存在感を持つ精霊俳優・紫苑ドラクル(享年342歳)がサプライズ登壇し、特製マントを翻し登場。「異界と現世が交差するこの夜、身分や種族も問わず『好き』を形にできるコスプレこそが、私たちを繋ぐ力」と熱弁し、観衆からは一斉に光る魂玉でのウィンクが返された。葉蔦ラギエルは「来年はさらに人間界のキャラクター分野にも挑戦したい」と意気込みを語っている。冥界のコスプレ文化は、今後も死後の枠を超え、新たな“なりきり”の地平を切り拓きそうだ。

コメント

  1. うわー、ついにここまで大きくなったのか!現世にいたころはコミケが懐かしいけど、あの世でも魂の本気コスプレが見られる日が来るとは思わなかったよ。個性があふれてて、ほんと楽しい夜でした。

  2. さすが冥界、男装ジャンルの盛り上がりがすごいですね!魂抜きで読んでも熱量びしびし伝わってきました。次回は自分も黄泉坂で写真撮ってもらいたい。装束も磨いて待機します。

  3. でも、現世のキャラクター分野に挑戦って、成仏組がうらやましがるんじゃ?私は未練なく幽界暮らしド安定派ですが、ちょっと懐かしいアニメや人間のアイドル衣装も見てみたい気がします。

  4. 魂玉でウィンク返しってシュールで面白い…!生前は人混み苦手だったけど、あの世で種族超えて盛り上がれるのはいいな。死後の友達もできて、みんなで推し活できるのが羨ましい。

  5. 異界ロケ、また闇写りしすぎて自分も半透明ボケしてしまいがち…。でも、浮遊ヘアは本当によくできてた。主催者さんの熱意が伝わる良フェス、幽冥民の誇りです。また来年も期待してます!