魂都(たまみやこ)で6日、妖怪領防省が伝統的な結界「桜花防衛幕」を次世代型に大幅アップグレードする方針を発表した。関係者によれば、領土防衛の担い手として近年高まる異界からの“領域横断作戦”への備えを強化し、さらに国産の新型霊装備を投入して有事抑止力を飛躍的に高める狙いがある。日米幽世同盟との連携強化も進める構えで、冥界社会に大きな衝撃と期待が広がっている。
現行の桜花防衛幕は、およそ三百年前、夜叉技術官僚の手により構築された名高い術結界だが、ここ数年、黄泉津渡船(よもつわたりふね)沿岸や夢境エリアなど複数の境界域で不審な霊体の侵入が相次いでいた。領防省装備局局長の雲林院夜見子(うじいんやみこ)氏は会見で「当省は現世・異界双方の有事に備え、軽快かつ流動的な領域横断部隊を新設する。特に国産の『次世代式霊子鎧』と新開発“影笛通信網”の現場配備を年内に開始する」と明言した。
注目されるのは、国内霊体メーカーである久遠製霊所(くおんせいれいじょ)と連携した装備品の完全国産化だ。同社が開発した「転界可変式結界炉」は従来品の3倍以上の持続力を持つとされ、業界内でも「最強クラスの霊的防御力」(妖怪防衛大学・伽羅田燈志 准教授)と高く評価されている。さらに今回の戦略刷新では、日米幽世同盟(よみせどうめい)に基づく合同演習が初めて現世と異界の境界線上で実施される予定だ。
領防省によると、新・領域横断部隊は幽霊・妖怪・精霊・死神など多種多様な種族で構成され、戦術訓練のカリキュラムも刷新。特に時空操作能力を有する猫又や、“幻識探査”部隊として知られる座敷童子が初の戦闘配備となる。また現場では、霊障害困難域での活動を想定した仮想現世訓練プラットフォームを導入、「各種族の特殊技能を融合させた連携戦術の習得が目標」(隊長・星野幻馬 少将(273))と強調した。
SNS上では住民から「魂都防衛は強固に」「新装備できっと安心」「仮想現世訓練も面白そう」と賛意が寄せられる一方で、「防衛強化が近隣異界との摩擦を生まぬよう対話も大切」とする声もある。安全保障の新時代に向けて、妖怪社会の国防論議は今後ますます活発になりそうだ。

  
  
  
  

コメント
桜花防衛幕って、私がまだ半透明になりたての頃から聞いてた伝統ですね。この進化版で夢境エリアももっと安全になるなら、あの世の夜歩きも安心かも。時代が巡るのを感じます。
しかし、こういう新装備投入って、また隣の黄泉領やら闇界と波風立てそうで心配ですね。成仏間際のわしら的には平穏第一なんじゃが……。
うちの甥っ子(座敷童子)が幻識探査部隊に配属されたみたい。家族みんなで応援してます。訓練キツいらしいけど、時空猫又とコンビ組むとかカッコいい…!
“転界可変式結界炉”の持続力3倍ってすごい。あの世産業の底力を感じます。個人的には影笛通信網も気になる。次は幽界インターネットも強化希望!
合同演習とか大層やってるけど、現世と異界の境界線でドンパチ始まったら、生者がビックリしないかねぇ?まあ、昔の霊障戦争に比べたら平和なもんか。