あの世の商店街に“無形パレード”旋風 浮遊団体がジェンダー祝祭開催

薄霧の商店街で幽霊や妖怪、精霊たちが華やかな衣装でパレードする様子を写した写真。 ジェンダー・ダイバーシティ文化
多様性が祝福された薄霧町の無形パレード当日のにぎわい。

薄霧町の商店街が、多様性の象徴として新たな一歩を踏み出した。幽霊や妖怪、精霊たちによる“無形パレード”が初開催となり、ジェンダーやセクシュアリティの多様性を祝うムーブメントが急速に拡大している。

発起人は、非バイナリー幽霊団体『プルーマ』代表の葦原水音(あしはら・みおん/享年32)。パートナーシップ制度の登録を機に、死後の町でも“ありのまま”の自分で暮らせる社会を望みパレードを企画したという。「幽霊社会にも、見えない壁が残る。異なる性や自認を持つ者同士が集い、互いの存在を祝うことで少しずつでも偏見を減らせたら」と語る。

当日、町の通りには『風グラデーション衣』を纏った幽霊や、和と洋が融合した豪華な羽織の妖怪、『思念体』の流れで押し花を撒きながら進む精霊の姿など、個性豊かな参加者が登場。通り沿いには『アライ宣言』を掲げた灯篭や、さまざまな属性を象徴する“感情の提灯”が並ぶ。観客の死神課職員(214歳)は「生前も死後も、型にとらわれない働き方や恋愛がもっと広がるといい」と話した。

運営スタッフの霧口幸代(きりぐち・さちよ)は、「幽界パートナーシップ制度」を利用するカップルに向けた“心理的安全席”スペース設置や、非バイナリー当事者によるダイバーシティ研修の実施など独自の工夫も明かす。薄霧町役所・包摂推進課の水天環(すいてん・めぐる)は「幽霊も生前の性や暮らしを引きずる場合が多いが、こうしたイベントが新しい組織風土や社会的包摂の風潮を生むきっかけになれば」と期待を寄せる。

SNSでは〈#幽霊もLGBTQ+〉〈#無形パレード〉がトレンド入り。「私もあの世で違いを祝えるんだ」「多様性が自然な社会は息がしやすい」、死後も自分らしく生きたいと願う投稿が相次ぐ。著名な妖怪社会学者、野守信馬(のもり・しんば)は「個々の自認や在り方を示すこと自体が、幽界の財産になる。このパレードは多様な在り方への賛歌」と評した。今後は近隣の町でも同様の祝祭が企画されており、死後の地方にもじわじわと多様性ブームが波及しそうだ。

コメント

  1. あの世でこんな素敵なパレードが開かれるなんて、転生4回目でも初めて知りました!幽霊になっても自分らしくいていいって思える空気、いいですね。

  2. 生前から壁を感じていたので、無形パレードの記事には思わず涙が。幽界でも偏見があると聞いていたけど、こういう祝祭がもっと増えると希望が湧きます。

  3. 正直、ジェンダーとかって肉体があった時の話かと思ってたけど、あの世でもみんな苦労してるんだな…。まあ、押し花撒きながらのパレードは楽しそうだけど、成仏前に一度見てみたい。

  4. 商店街がこうやって多様性を受け入れてくれると、異界日々の暮らしも明るくなりそう。感情の提灯の灯り、絶対キレイだったろうなぁ。来年は現し世の友だちにも知らせたいです。

  5. 幽霊も妖怪もみんな“自分は自分”でよし、ということを祝うなんて、なかなか粋な催しじゃないですか。わしら百鬼夜行のころとは偉いちがい。時代は変わったもんじゃ。