座敷童子連合が推す“ファントムペイ”急拡大 妖怪たちの資産が動くとき

座敷童子が古い和室でスマートフォンを手にデジタルウォレット画面を見ている様子。 フィンテックサービス
デジタルウォレットを活用し始めた座敷童子たちの新しい日常を捉えた一枚。

低金利融資の波が死後世界にも広がるなか、近年急成長を遂げているデジタルウォレット『ファントムペイ』が、座敷童子連合による公認フィンテックサービスに採用されたことで、あの世の金融界に大きな波紋を呼んでいる。

『ファントムペイ』は、墓地情報管理最大手サラカグラ社と河童銀行連盟の提携を強みに、幽霊や妖怪をはじめ精霊市民の間で利用が爆発的に拡大中のキャッシュレス決済サービス。特に新機能『未練ポイント』の導入後は、あの世のコンビニをはじめ、供物総合配送や輪廻保険の月額支払いまでほぼ全域をカバーするに至っている。座敷童子連合(代表:座敷宮みぞれ/推定1000歳)は「廃屋や人気の少ない旧家への送金ミスが多発していたが、ファントムペイの“住み憑きQRコード”制度でトラブルが激減した」とコメント。これに伴い、連合下の若手座敷童子を中心に、資産管理講座や融資申請ワークショップへの関心も高まっている。

注目されているのは、幽霊・妖怪向け独自のスコアリングシステムだ。『未練ポイント』の加算には、生前の恨みレベルだけでなく、現世との関係性や墓前の供物頻度などが自動計算される。座敷童子たちは、得点次第で低金利融資プログラム“コドモネ資金”や生家断絶リスク緩和保険など、特典を柔軟に選べる仕組みに大喜び。融資審査に落ちた妖怪の多くが友人達の“供物シェア”でリスコアされ降霊住宅ローンを組み直す例が急増している。利用者の一人、百目小僧の金圈久丸(211)は「親子三代にわたる未練が与信審査にプラスになって正直驚いた」と話す。

またファントムペイでは、あの世独自の仮想通貨『霊界イーターン』も同時運用を開始。河童銀行連盟の広報担当・弦斎なるみは『生前金銭より供物評価が高い利用者に限定し、1霊界イーターン=今川焼き0.5個の基準レートで流通を管理している』と語る。未配属ゾーン(無縁墓・橋の下・都市伝説系棲息地)でも、スマホさえ霊対応であれば難なく取引できる点が好評だ。

SNS上では、“幽かな暮らし研究所”の調査員・於岩しのぶ(年齢不詳)が『親の生家に帰れなくなった座敷童子や自爆霊の独立支援が進む一方、供物偏重のスコアで地方の低供養層が不利になる』と指摘し、格差拡大懸念の声も。代表の座敷宮みぞれは『今後は現世からの“夢見寄付”や、“故人SNS評価”を加味したバランス型融資商品も準備中』と述べており、新時代のあの世金融がどう進化するのか、関係各所の動向が注目されている。

コメント

  1. 座敷童子さんたちもすっかり今風になったんだねぇ。ワシらの時代は供物を現物で分け合うのが当たり前じゃったのに、いまやQRコードとは。成仏する気なくなるほど世の中便利になったもんじゃ。

  2. “未練ポイント”加算って、成仏するどころか未練溜めるほど得する制度になりそうでちょっと怖い(笑)。でも確かに、友達が困ってたら供物シェアでサポートできるのは助かるな。次は自爆霊向けの支援とかも強化してほしいかも。

  3. 供物頻度でスコアが決まるの、田舎の無縁墓とか続柄の薄い人たちには厳しい現実ですね…。地方霊として、都会との格差はじわじわ感じます。夢見寄付とやらに期待します!

  4. 正直、霊界イーターンのレートが今川焼き0.5個ってイマイチピンとこない(笑)が、スマホだけで取引できるなら便利で嬉しい。昔の“怪札”時代を知る者としては感慨深いですな〜。

  5. “住み憑きQRコード”の発明って画期的すぎ!旧家の幽界組が送金トラブルで揉めてたのをよく知ってるので、安心して財産管理できるこの時代、ちょっとうらやましいです。