幽霊街におうちカフェ旋風 レトロ喫茶風グラスと現世直送豆が人気沸騰

あの世のレトロな自宅カフェ風サロンで、半透明の幽霊たちがコーヒーと焼き菓子を囲む写真。 おうちカフェ文化
幽界でも盛り上がるレトロおうちカフェ文化の一場面。

あの世の閻火市では近年、おうちカフェを楽しむ文化が未曾有の盛り上がりを見せている。オールドスタイルのレトロ喫茶ブームが霊界でも再燃し、真夜中の路地裏や夢の間通りではおしゃれなコーヒーと焼き菓子の香りが漂う。現世の流行が波及する一方で、独自の幽質アレンジが霊たちのあいだで広がっている。

自宅で楽しむカフェ文化の中心となっているのは、生前カフェオーナーだったアラタニ・ホシノ(幽霊、没後12年)らが開催する『幽喫茶ハウス市集』だ。“霊界で味わうレトロ体験”と称し、半透明のガラス食器や昭和風パフェグラスを用いたドリンクが人気を呼ぶ。市集限定のコーヒー豆『冥界ルワンダ』は、地上から空輸された生豆を現世の専門焙煎士が幽界郵便経由で納品。さらに霊界特有の“あの世ブレンド”(生と死のはざまで熟成させる独自製法)は話題をさらい、SNSでは「現世より味が深い」「コーヒーにも成仏体験」と評されている。

自宅カフェ派も多く、幽霊建築士のシノノメ・カルラ(幽霊、没後45年)は、自宅の一角をレトロ喫茶風サロンにDIY。60年代様式のタイル机に霧焼きプリン、骨粉入りバターサブレなど、焼き菓子を手作りして仲間をもてなす。「あの世では味覚が曖昧になりがち。でも、現世レシピをもとになら、かつての温もりをみんなで再現できる。おしゃれな食器で楽しむことで、死後も生活に張りが出ます」とカルラ氏は語る。

また、若い幽霊世代には“韓国カフェ風”の波も到来。おばけ美容師兼インフルエンサーのグンジョウ・セイカ(幽霊、没後3年)は、半透明の大皿に目玉付きフルーツサンド、魂フォトジェニックな‘ノンオーラ・アイスラテ’を並べて撮影。“異界からも流行発信!”とタグ付けし、あの世SNS『フェイドブロウ』で毎夜フォロワーを熱狂させている。特に“おばけ風モーニングプレート”は、未明に迷子の新米霊たちが集い語り合う新定番メニューとなっている。

専門家のミズハノ・イワネ(死後文化研究家)は、「死後も“おうち時間”へのニーズは失われません。現世の文化が浸透することで、霊たちの自己表現欲求やコミュニティ形成の場が拡大しています」と解説。乙女心燻るコーヒーカップやユーモアあふれる亡者焼き菓子が並ぶ幽界のリビングルームは、今日も賑やかなさざめきに包まれている。

コメント

  1. まさか閻火市でおうちカフェが流行るとは…成仏してもコーヒーの魅力は消えないですね。昭和パフェグラス、懐かしすぎて涙が消えそう。

  2. あの世にも“韓国カフェ風”が来てるのは正直びっくり。迷子の新米霊がモーニングプレートで語り合うなんて、なんか微笑ましいですな。

  3. 骨粉入りバターサブレって…生前の味とは違いそうだけど、霊界なりのアレンジなのかな?食べてみたいような、浮遊しそうな…。

  4. こっちでも『おうち時間』が大事って、どこにいても変わらないんだなぁとしみじみ。幽界のレトロ喫茶、昔の人生をふと思い出しちゃいました。

  5. “生と死のはざまで熟成させる”とか、あの世ブレンドさすがの奥深さ!でも現世から空輸されるって大変そう…幽界郵便さん、頑張ってますね。