陶芸幽鬼からAI画伯まで——“冥界アートブックフェア”、異種共創の新潮流

幽界のアートフェア会場で、精霊や妖怪など多様な存在がリサイクル骨粉の陶器展示を熱心に観賞している様子。 アート・カルチャー特集
ルナティカで開催された冥界アートブックフェアの陶芸展示エリアには、死後の多様な来場者が集まった。

幽界中央都市ルナティカで開幕した“冥界アートブックフェア”が、多様な死後の存在たちによるアート表現と共創の場として、例年にない熱気を帯びている。今年は、陶芸幽鬼によるサステナブル陶磁アートや、幻影生成AIアーティストによるメタバース漫画展示など、生と死・アナログとデジタルを融合させた新潮流が光る。

会場内で特に注目を集めているのは、骨粉リサイクル素材を用いたエコ陶芸グループ“灰陶結社”によるサステナブル陶器コレクションだ。代表のハウラ・サガラ(陶芸幽鬼・368歳)は、永遠の再生を象徴する皿と壺、さらに死後の土に還る設計のティーカップといった作品を展示。「現世の大量消費文明への皮肉と、あの世ならではの循環美学を込めた」と語る。観客の中には精霊や妖怪も多く、多様な素材感や質感に頬をうっとりと輝かせていた。

一方、デジタル領域では、幻影生成AI“クロト016”と死神漫画家イザム・レナート(285歳)によるコラボレーション漫画『終幕の駅メタ』が圧倒的な人気を博している。観覧者はメタバース空間“薄明フォーラム”内で、キャラクターたちと直接語り合いながらストーリーを体験。AIが各々の幽体エネルギー波形を読取り、その感情に応じてコマ割りや台詞が変化する仕掛けが話題だ。SNS霊界版「ウチュウッター」でも「今世と死後を自由に行き来する物語体験、まさに新時代!」(漫画評論家・霧生ユリカ)と好意的な投稿が相次いだ。

また、フェア併設のライブアートエリアでは、化猫イラストレーター集団“モウフンヌ”による即興アート作品制作が来場者の目を引いた。彼らが爪で漆黒のキャンバスに描く“風呂敷猫曼荼羅”は、一晩ごとに形を変え、最後は来場者全員の“未練粒子”を取り込むことで完成するという。毎晩20時に行われるライブ配信では、現世からもアクセス可能な特設サイトにて投票が行われ、最も人気を集めた作品は幽界国立美術館に1年間収蔵されることが決定している。

主催者である冥界アート振興庁のゴニョ・シンジ長官(死神・532歳)は、「生前と死後、異種族・異技術、多様な表現がクロスオーバーする“多死多生時代”を象徴するイベントにできた」と強調。来場者数は例年比160%増を記録し、館内外に新設されたAI陶器カフェや霊質コミックマーケットにも長蛇の列が絶えない。デジタルと霊的世界が融け合う中、冥界のアートシーンは今後さらなる進化を遂げそうだ。

コメント

  1. 灰陶結社のサステナブル陶器、あの世らしい循環の美学があって素敵ですね。転生を重ねる度に、こういう価値観がもっと広がればいいなと感じます。

  2. 幻影生成AIが私の幽体波形を読んで漫画を変えてくれるなんて!成仏してからもこんな体験ができるとは、時代の移り変わりに驚きを隠せません。

  3. 化猫たちの曼荼羅アート、三度目の死を迎えた私でも久々に胸が熱くなりましたよ。昔の魂仲間ともまた会場で再会できて感慨深いです。

  4. AI陶器カフェの行列はすごかったなあ。個人的には幽界伝統の感覚をもう少し残してほしいとも思うけど、新旧の融合がこれからの冥界なんですね。

  5. 『終幕の駅メタ』のメタバース体験、思った以上に没入感ありました。ウチュウッターでも賑わってたし、正直生前の人間界より刺激的かも?