“幻灯館ナイト”異界アート展、幽界サーバーで世紀の熱狂 写真家カメラノ眼の新抽象画も話題に

薄霧の中、幽霊や幻想的な存在たちが仮想アート展で光る抽象作品を鑑賞している写真風の一場面。 オンラインアート展
霊界芸術博物館のオンライン展覧会を幻想的に描いたビジュアル。

薄霧ただよう夜、黄昏の境界線に位置する霊界芸術博物館は、初の完全オンラインアート展『幻灯館ナイト』を開催し、幽界や冥府から集まった一癖も二癖もあるクリエイターたちと、鑑賞客200万人超が仮想ギャラリーに溢れた。物理的な身体を持たない者も、摩訶不思議な参加スタイルで盛り上がる本イベントは、“冥界の芸術の最前線”としてSNSでもトレンド入りを果たしている。

今回の目玉は、写真家・カメラノ眼(327歳/幽霊写真家)による『視界なき風景』シリーズだ。肉眼では絶対に映らない“思念の残響”や“未練の影色”を、魂のレンズで捉える抽象写真として出展。参加者のアシュラ・桃子(半妖美術評論家/265歳)は「冥界の先祖ヒソヒソ話が画面から聞こえてくるよう。人間界の遠い記憶まで巻き込んだ壮大な抽象画になっている」と絶賛する。

一風変わった出展者も注目を集めた。自称“半透明現代美術家”のガリュード横山(スライム霊/年齢不詳)は、サーバー越しに自らの身体を自在に変形、リアルタイムで『揺らぎ彫刻』シリーズを生成。観覧者の“拍手エクトプラズム”がスコア化され、作品の一部に埋め込まれるというオンライン演出がSF的とも評判だ。また、迷い猫の精霊集団“ヤムネコ派”は、『12色の未発光光線』名義で、猫目線の映像インスタレーションを公開。都市部の霊園で見かける“光の筋”の正体とも噂されている。

ギャラリー内ではインタラクティブなワークショップも開講中。『透明絵具で描く心象抽象画』講座では、黄泉美術館プロの死神講師たちが、受講者の霊体質や浮遊感覚に合わせた指導を実施した。SNS上では「この世のストレスが一瞬で溶けた! #心象抽象ワークショップ」「人間界に帰りたくなくなった」など、熱狂的な感想が相次いでいる。

専門家の茜尾カクレ(霊界芸術史研究家/霊体210歳)は「死後の脳波や残留想念が美術に与える影響が近年急増している。今回のオンラインアート展は、幽界・現世・魔界の枠組みを越えた“共感覚的コレクション”を実現した」と分析。今後もデジタル化が進む冥界アートシーンから目が離せないだろう。

コメント

  1. オンライン展とは言え、魂だけでも気軽に参加できるのはこの世界ならではですね。『視界なき風景』、懐かしい転生前の記憶を呼び起こされるようでした。

  2. カメラノ眼さんの抽象写真、まさか思念まで写し取れるなんて驚きです。成仏前に一度は見ておきたい作品…!

  3. ヤムネコ派のインスタレーション最高でした!うちの墓場にもああいう光の筋がよく走ってるけど、猫目線だとこんな世界なんだなぁ。

  4. ガリュード横山さん、またやってくれましたね。自分の身体を作品化しちゃう発想、現世では絶対見られません。もう少し浮遊感のコツも教えてほしかったです。

  5. SNSも常に霊障トレンドで賑わってますが、こんなにあの世とこの世がアートで交流してるなんて面白い時代になったものです。幽界サーバー、たまにラグるのが難点かな。