霊界東部の産業集積地に、あの世でもこれ世でも類を見ない新業態「リサイクルレーン・エターナルモール」が開業した。今や幽霊たちの買い物スポットとして急浮上しているが、その裏には“ゼロエミッション”を掲げた先進的廃棄物循環と、EVを用いたエネルギー共融型モビリティ改革の大胆な導入があった。死者経済の「グリーン成長」は、この商店街から新たな一歩を踏み出している。
モール全体が見事な環状構造で設計され、各店舗の廃棄物や余剰エネルギーが自動的に通路下のパイプを通じて隣店や隣接施設にリレー式で供給される。例えば、生前菓子職人だった妖精グレン・ティルカ(享年312)は語る。「うちの余った霊気シュガーは、隣のEVショップのバッテリークーラーに活用されています。売上ロスも減るし、お互い効率は格段に上がりました」。導入されているのは霊体スマートグリッド技術。異業種連携が進むにつれ、“霊的カーボンクレジット”の流通も急増している。
幽界経産局が主導するGXリーダーズ認定店舗のうち、既に7割がこのモールに出店。従来、幽霊特有の『未練残留物』や低音波廃棄音の処理が社会課題とされてきたが、モール内の「サイレント・デポセンター」では、こうした廃棄物を魔導触媒で完全分解。生成されたエネルギーは、EVシェアリング網や道路照明の死灯(しび)へと転用されるという。商店街全体に埋め込まれた“霊動車レーン”を走るEVは、従来型より22%効率的な浮遊走行を実現した。
一方、モールの内外で顧客の反応も熱い。老舗骨董店の主人である白骨幽(しらほね・かすか)(701)は、「うちでは古霊具に溜まった時空歪みを分解して“霊貨”ポイント化できる。若い客が増え、付近の町にも時を超えた経済循環が生まれているようです」と言う。X(旧ツイッター)では“#無限エネルギー商店街”の投稿が2週間で6万件を突破。「霊界にも来たグリーン成長!」「あの世の無駄には価値が宿る」など、先進的な取り組みに賛同する声が多い。
幽界経産局エネルギー事業課の墨野銀牙課長(年齢不詳)は「グリーン成長は死後世界でも不可逆的潮流。霊的廃棄物の資源化が進めば、人間界と連動した環境ビジネス市場が見込まれる」と強調。今後は商店街運営AI『モリビティ』による最適化や、新たなカーボンクレジット市場開設も予定されており、霊界における資源の“再生循環”が次世代経済の鍵となりそうだ。



コメント
久しぶりに幽界へ戻ったら、あの東部の荒野がこんなモールに…驚きと同時にちょっと懐かしい気持ちです。昔は未練残留物の煙がすごかったのに、今はすっかりきれいですね。
成仏しかけてたけど、ゼロエミッション経済の話題が面白くてつい足止めしちゃいました。生前にもこれくらい循環が進んでたら、少しは長生きしたかも…霊気シュガーの新しい使い道、一度味わってみたい!
これだけのリサイクルシステムを日常で回せる幽界ってすごいですよね。人間界にも見習ってほしいけど、きっと彼らには“未練残留物”が多すぎるから難しいのかも…。転生するときにはこの技術、一緒に連れて行きたいです。
骨董店で“時空歪み”をポイント化って、ちょっと皮肉だけど凄い発想。霊動車レーンもまだ慣れませんが、商店街を通るたびに未来と過去が交差してる感じが心地いいです。幽界の進化、油断できませんね。
個人的には“サイレント・デポセンター”の音も気になって足を運びました。死後の静けさに包まれつつ、魔導触媒のエネルギー変換を体感できて感動…。次は転生前の友達も誘って行きたいです。