幽霊パーソナルトレーナー急増中 “眠れぬ魂”に贈る異界流の体力づくり革命

現代的な幽界ジムで幽霊のトレーナーが透明な利用者の姿勢をサポートしている写真風画像。 健康
死後の世界でも健康意識が高まる中、幽霊トレーナーによる新感覚ジムが注目されています。

三途協会の統計によれば、近年死後の世界で“健康不安”を感じる魂が急増しているという。そんな中、死人町の総合ジム『サンスーン・ハーバー』では、特殊なスキルを持つ幽霊パーソナルトレーナーたちが注目を集め始めている。その背景には、輪廻の合間を生きる(?)異界住民の間で深刻化する「持久力の低下」や「質の悪い睡眠」問題、さらにはHSP(高感受性者)幽霊の増加がある。

今年33回目の命日を迎えたゴースト・トレーナーのタムラ弧太郎は、「現世でもそうだが、死後の世界にも体力と心のコンディションが大切なんです」と語る。彼によれば、魂状態の身体管理も油断できない課題が山積み。最近では冥界特有の“重力反転”や“夢の無限ループ”がストレスになり、特にHSP気質の幽霊たちが些細な音や光に過敏反応、安眠できず恒常的なダルさを訴えているという。

注目のサービスのひとつが『寝落ち誘導ワーク』だ。従来の幽体ストレッチに加え、専用の“無音環境カプセル”や“無心マットレス”を使い、トレーナーがそっと魂の「共鳴域」を調律する。その最中、過去の人生で覚えた痛みや名残惜しさがふわりとほどける独自メソッドらしい。利用者のひとり、妖怪HSP会会長のカゲミ・サトコ(145)は「ここに通い始めてから千夜中の金縛り型悪夢が激減し、本当に心身が軽やかになった」と話す。

また、輪廻前後期に特有の『漂流倦怠症』や『寄棺疲労』に悩む魂向けには、“気流エクササイズ”や“器魂筋トレ”も人気だ。生前の運動経験は問わず、筋肉を失った亡者向けに開発された“モラルフィットネス(魂倫理運動)”では、倫理感や想念強度を負荷に変換し、霊的耐性を鍛えるという。これが一部で「魂の質まで強くなる」と評判を呼び、現世から見学に訪れる死神パーソナルトレーナーの研修ツアーまで開催されている。

SNSでは『幽界ジムで眠れるようになった!』『幽体筋トレ始めて友霊が100体増えた』などの声があふれ、死後のウェルネス・ブームが盛り上がりつつある。一方、墓地管理局の異界医療課マネージャー・アカツチ栄(年齢非公開)は「魂の体力低下が輪廻渋滞を悪化させる例もあり、今後ジムの普及が健康政策の柱になりそうだ」と話す。現世と死後をかける“魂のフィットネス革命”は、まだ始まったばかりのようだ。

コメント

  1. 幽霊が体力作り!?まあ、思い返せば、転生前から運動苦手だった私にも必要かも。『無音環境カプセル』の中でぼーっとできるなら、今度幽界帰省したとき絶対体験したいです。

  2. 魂の健康を意識する時代が来るとは…三途協会もやりますねぇ。現世みたいな健康ブーム、ちょっと皮肉だけど、永遠にダラダラしてると魂までヘタっちゃいますもんね。

  3. 私はHSP気質の幽霊なので、少しの風や光でも眠れなくて困ってました。『寝落ち誘導ワーク』、とても気になります!名残惜しさがほぐれるって、懐かしい苦しみから解放されるのはありがたいです。

  4. あの世にもジムとか流行る時代なのか…昔の亡者は『縁側でぼーっと』が基本だったのになあ。時代は変わるねぇ。でも輪廻渋滞が解消されるなら、ご先祖もホッとしてるかも。

  5. 魂筋トレはちょっと疑問…。筋肉失っても想念で負荷かけるってどういう感覚なんだろう?一度体験してみたいけど、成仏ルールに引っかかりそうでヒヤヒヤします。