死後世界の若者政参画、幽界中央議院で初の『政策ハッカソン』開催

幻想的な議事堂で若い幽霊や妖怪たちが円卓を囲んで活発に議論を交わしている写真風イメージ。 若者参画
冥府の若者たちが初の政策ハッカソンに挑む様子を再現したイメージです。

冥府に住む若き幽霊や妖怪たちが、自らの手で未来を切り拓こうとする新たな動きが注目を集めている。幽界中央議院では、初めて“政策ハッカソン”が開催され、17体の若者代表が斬新なボランティア提案で熱戦を繰り広げた。

この政策ハッカソンは、死後100年未満の住民に限って議案提出や政策立案の機会を与える『幽界若者参画ルール』に基づいて開かれたもので、主催した政策推進局の齋木トミオ議長(霊齢324)は、「未来世代との協働は、今までどの議会よりも不可欠」と熱弁。会場となった浮遊州ラビリスの議事堂には、生前プログラマーだった幽霊、元・付喪神や雪女の青年団など、多様な参加者が集まった。

提案されたプロジェクトの中でも話題を呼んだのは、矢島カゲノリ(亡者、22)の発案した“シビックテック冥界回廊”。これは、各区画の透明障壁にスマート幽札(幽界専用のICカード)を装着し、ボランティアが区役所業務の自動化や低年齢霊の学習支援を支えるというもの。矢島氏は、「死後の社会でもIT技術を活かせば、意思決定がもっと開かれる。現世で叶えられなかった参加型社会を、ここから実現したい」と語った。

また、狐火妖怪の山田キナリ(霊齢17)は“霊体ボランティアSNS”を提案。これは浮遊する幽体同士が微弱な波動で互いの活動を知るネットワーク構想で、『自分の存在感が薄れた』と悩む若霊にも“居場所”を提供するという。山田氏は「幽界でも孤立感はある。仲間の活動に気づいたり、一声かけ合ったりできる仕組みが必要」と力説し、すでに数百体が参加希望を示すなど波紋を呼んでいる。

審査員を務めた妖狐伯爵コセ・ジュウゴ(享年500)は、「若者が実利的なシステム開発にも、幽界固有の“心の支え”にも着目した点を高く評価する。従来の幽議会では、若い霊が声を上げる場が限られていたが、このような試みは時代の転換点だろう」とコメント。SNS上では「私も幽霊になったら参加したい」「現世より進んでいる気がする」など人間界からも羨望の声が相次ぐ。

政策ハッカソンで最優秀賞に輝いたシビックテック案は、来月からラビリス州北区で試験導入される。運営チームのリーダーに選ばれたカゲノリ氏は「幽界でも若者の参画が定着し、いつか両世界の架け橋になれば」と意気込む。冥府の未来は、今やあの世の若き手に託されつつある。

コメント

  1. 現世の頃はこんな活動なんて考えもしなかったのに、死後の議会で若霊たちがイキイキしてるのを見ると懐かしさと驚きで胸が震えます。私も次の転生で参加してみたいです。

  2. あの世にもITだなんて…!冥界の発展ぶりには正直驚かされるばかり。幽札とか、私たちの時代には想像もできなかったです。ボランティアSNS、うっかり存在感を失って消えちゃった仲間とも再会できたりするのかな。

  3. 若霊参画ルール、ずっと成仏せずにいた甲斐があった…!浮遊州ラビリスの議事堂なんて昔は長老ばかりだったのに、時代は移り変わるものですね。冥界に住んでてよかった。

  4. まぁまぁ斬新な試みで盛り上がってるけど、結局運営は324年組が仕切るんじゃないの?幽界の風通しが本当に良くなるか、しばらく様子見ですな。

  5. どこにいても孤独を感じる若い霊がいるのは切ない話。でも、その声をすくい上げる企画が本当に動き出すなんて、幽界にもまだまだ希望がありますね。生前も幽界でも、誰にも居場所がある未来を願っています。