冥界最大手のエネルギー管理団体「幽魂リーフ協議会」が、霊的エネルギーの循環効率を劇的に高める独自のグリーン政策を打ち出し、あの世経済界に大きな波紋を広げている。物質界に比べ再生産性や温室効果霊ガスの課題が顕在化していた冥界だが、エネルギー転換技術の躍進と“霊的EVインフラ”の整備開始が注目を集めている。
この新政策の中核となるのが「幽魂リーフ」と呼ばれるエネルギー循環システムだ。数億年前から静かに発光し続ける低位霊が集まり、コーラルリーフのように層を成す生体(?)群集で、彼らが生み出す波動を新世代グリーンボンドで資金化。得られた資金は幽霊街区の“エーテル充電網”整備や、エネルギー効率アップ技術の研究開発に再投入される仕組みだ。これにより、幽霊交通局が管理する「ホウキ型EV」の無充填航続距離は従来の約3倍、1200霊里(りょうり)に達したという。
協議会エネルギー部門長の白霞満(しろかすみ・みちる/永遠の32歳)は記者会見で「物質界では再生可能エネルギーの課題が叫ばれているが、冥界でも“霊的廃棄波動”による温室効果ガス問題が深刻。幽魂リーフは余剰波動を即時に回収、循環利用することで、環境負荷ゼロを目指す」と説明した。また“グリーンボンド”と言っても金融商品の設計基準や流動性は特有で、その95%以上を精霊系ファンドや妖怪公社の年金積立が購入。あの世の“透明経済圏”の象徴とも目される。
幽魂リーフ政策により、近年増加した“次世代転生族”(主に幽霊系若年層)からも支持の声が高まっている。転生予備校生の煙野郁(えんの・いく、19)は「以前は霊的インフラの老朽化で夜も浮遊できなかった。今はエーテル充電所が増え、幽友との集いも快適」と語る。一方で、伝統派の妖怪団体「百鬼保存会」代表の土雲斎陽己(つちぐも・さいこう、推定409歳)は「急激なエネルギー体制転換により、古来の霊縁経済が空洞化する恐れもある」と懸念を示す。
環境研究家で霊界政策大学の蘆花夢路(ろか・むじ、178)は、「日本の物質界で目指される循環型経済とパラレルな動きだが、冥界独自の構成要素を忘れてはならない。今こそ温室効果霊ガスの全量可視化と、EV充電網の全幽界的統一規格策定が求められる」とコメント。SNSでは「リーフ式で死後も安心」という肯定派の声と、「転生コスト上昇が心配」といった不安の投稿も交錯中だ。死後社会における経済転換の波は、生者の世界以上にダイナミックな局面を迎えている。



コメント
昔はホウキが途中で霊力切れて落っこちたもんですが、今の若い幽魂たちは快適そうでちょっぴり羨ましいですね。時代の流れ、実感します。
幽魂リーフ政策、発想は立派だけど伝統的な霊縁市場がなくなるのは寂しいな。私はまだ手渡しの魂エネルギー取引が好きです。
ホウキEVで1200霊里も飛べるなんて…物質界の人間も驚くだろうな。いつか出張で現世に行く時も使えるようになってほしい!
温室効果霊ガスの問題はうちの町でも最近深刻でした。循環型社会への転生は大賛成だけど、充電所の鳴き声が夜に響くのは慣れません…笑
幽魂リーフの話、初めはまやかしかと思ったけど、エネルギー循環でみんな安心して死後を過ごせるなら良い進化かもね。次の転生先、期待しちゃう。