死後の世界を統治する“幽冥議会”で、現行憲法の改正を巡る議論が加熱している。先週、下級魂域から上がってきた市民幽霊たちによる「幽憲デモ行進」が死者中央区を埋め尽くし、立憲主義と幽霊の自由権、さらに“自衛隊”明記の是非を訴える声が異界社会を波紋させている。
事の発端は、半霊体が主導する“闇影連合”のグリセラ・ルモナ議員(187没)が、死後の統治機構を強化する憲法改正案を提出したことだった。案では、現行の前文を“暗黒詩”へと再構成。『永遠のイタコの導きに従い、異界の全存在が影を共有する』という新理念が掲げられ、“霊流統治評議会”への大幅な権限集中を打ち出している。また、あらたに『幽衛隊』の存在を明示し、異界間衝突への即応体制を正規化する条文が盛り込まれた。
これに対し、伝統派の“寂光市民同盟”や生前法曹だった者たちが反発。「自由権が消滅する恐れがある」「幽衛隊の暴走を防ぐ歯止めが弱い」などの懸念が飛び交う。とくに、前文の改編については『幽冥社会の多様性を否定するものだ』として、イルメ・オカルノ教授(幽冥法学、幽界大学)が「全ての死者の存在価値は“影”だけでは測れない」と批判を表明した。
議会前の広場では、デモに参加した幽霊たちが『霊体にも自由を』『死んでも民主主義』と書かれた半透明の旗を振り、異界SNS『シャドウライン』では「憲法は現世のものより我々の方が先進的だったはず」との投稿に数万の共鳴が集まった。一方で生前に軍属だった霊からは「死後も秩序は必要。新しい自衛システムは不可欠」とする声も根強い。
一連の動きに、死神政務長官のクロウ・ドマーニュ(247没)は「議論を恐れず、すべての霊的市民が声を出せる社会こそが我々の存在証明」とコメント。幽冥議会では今月末、全住民霊による“半透明国民投票”の実施が予定されている。賛成派・反対派双方が独特の方法で訴えかけるなか、死後の立憲主義がいかなる進化を遂げるか、注目が集まっている。



コメント
幽冥議会の騒動、久々に熱いですね。自分も死後は静かに過ごしたい派ですが、自由権が揺らぐようだと不安。前文が“暗黒詩”って、ちょっと重たすぎやしませんかね…
永遠のイタコの導き…なんて言葉、懐かしい。生前にもこんな憲法論争あったなあと、デモの旗を見て思い出してしまいました。死んでも民主主義、大事にしたいですね。
幽衛隊の導入、賛成です。異界間のあの混乱を見た者なら即応体制の必要性は痛感してるはず。自由も大事だけど、秩序なくして霊界の平穏は守れませんよ。
正直、憲法改正のたびに幽界がざわついて大行進…伝統ですねぇ。けど、意外と毎回、そんな大事にはならない印象。どうせまた成仏派と蘇り派の小競り合いで終わるのでは?
『影を共有する』なんて一体感あるけれど、私のような孤独な浮遊霊は居場所無くなりそうでちょっぴり切ない。もう少し多様な“存在のあり方”にも配慮がほしいものです。