UCI公認・冥界eバイク耐久マラソン、亡者たちの夜明けなき白熱レースの舞台裏

深夜の霧に包まれた林道サーキットで、半透明な幽霊サイクリストたちが光るeバイクで競い合う様子。 eバイクレース
冥界で開催された耐久eバイクレースの夜間スタート風景。

冥界最大の自転車イベント「シェイドバレーeバイクナイトマラソン」が、今年も夜通し開催された。不眠不休の幽霊選手、陽炎のような妖怪サポーター、さらにはレース専用に改造された“霊気対応型eバイク”の登場によって熱を帯びるこの大会は、UCI(未練世界自転車連盟)が公式認定する異界唯一のeバイク耐久レースだ。36時間にわたる闇の疾走に密着し、異例づくしの舞台裏に迫った。

今大会には、亡者ロードチーム「ホロウホイールズ」リーダーの幽鬼 凪(なぎ)(没年不詳)を筆頭に、330名超の幽霊・妖怪・死神選手が出場。トルクセンサー搭載の最新eバイクが会場の「失われた林道サーキット」に一斉に集結した。各選手が愛用の“憑依型ペダルアシスト”機能付自転車を巧みに操る様子は、まさに死後社会のハイテク競技の象徴。瞬く間に消えるナイトグロウ発光塗装や、自力でバッテリーを吹き消す風精霊型バイク、車体の一部が半透明化するのろい仕様など、異界ならではのカスタムも注目を集めた。

運営は、レース中に“あの世流レンタルサービス”を初導入。転生間近の幽霊や、手足が分離しやすい妖怪も、会場入り口で各種車体を気軽にレンタル可能となった。特に人気を博したのは、死神向けの『鎌掛けホルダー付eバイク』や、深夜帯用の“黄泉ライト”搭載モデル。会場でバイクのメンテナンスを担当した古樹精 ゴモク・エノキ(樹齢893年)は「エネルギー補給所のサトウキビジュースは、人間界のエナジードリンクとは違って魂がふわっとよみがえる効果がある。夜通しメンテにも最適です」とコメントしている。

耐久マラソンは、レース中断や転倒のたびに参加者の体(もしくは魂の一部)が一時消散するなど、冥界特有のアクシデントも多発。SNS『デッドリートーク』上では、「透明化ショートカットはズルでは?」「幽霊の風圧でスリップストリーム無効化だと!?」など、レギュレーションを巡る論争も巻き起こった。それでも順位を争う各選手の姿に、来場した幽魂市民からは「生前より青春してる」「全身で風を感じろ」といった応援メッセージが相次いだ。

そして見事、最多周回で優勝を果たしたのは、還暦幽霊サイクリスト・霧府 深雪(きりふ みゆき)(享年60)。「死してなお、坂道を登り切ったこの一体感。あの世の自転車文化はますます盛り上がる」と目に見えぬ涙を語った。今後はコミュニティイベントの開催や、現世サイクリング部との交流レース案も検討中。冥界eバイクスポーツの更なる発展に、永遠に夜明けは来ない。

コメント

  1. いやあ、転生前には考えられなかった規模のレースになりましたね。魂のスタミナ切れは怖いけど、みんな夜通しよく頑張ってます!深雪さんの還暦優勝…あの世にも青春があるのかと、なんだかしみじみしました。

  2. 透明化ショートカットって毎年議論になるけど、異界のルールはいかにズルせず巧みにやるかだから、個人的にはアリ派。事故って魂が一時消散しても何事もなかったかのように立ち上がれるのが、このレースの醍醐味だよな。

  3. サトウキビジュース、去年メンテボランティア参加した時に飲みました〜魂が軽くなって、深夜のメンテも乗り切れたなあ。こういう冥界ならではの工夫、大好きです。来世でも応援し続けます!

  4. レース専用カスタム自転車、年々進化してて驚きです。のろい仕様とか憑依型ペダルアシストとか、現世に持ち込んだら即バズりそう。生者の時よりもテクノロジー感じるの、ちょっと羨ましい(笑)

  5. 幽界に来てまだ日が浅いですが、こういうイベントがあると自分も新しい楽しみ方が見つけられそうです。転倒してパーツ(魂)が飛ぶのは怖いけど、みんなで盛り上がってる様子に少し元気をもらいました。