異界流通会社ファントムライドは、新型自動運転車「ファントムパイロット」を霊族・妖族向けに発表した。運転席が消失し、肉体を持たない利用者でも自在に車両を操縦可能とする革新的モデルが、あの世社会に波紋を広げている。
ファントムパイロット最大の特長は、車体内部に運転席が一切存在しない点だ。設計主任のユルシナ・ハクナ(幽界設計技師)は「霊族は触れられる物理インターフェースを必要としません。車体と利用者の魂波長を合わせることで、幽界独自の“魂リンク遠隔操作”を実現しました」と語った。外部センサーが霊滞を読み取り、車体各部のステアリングやアクセル制御に反映。乗員が車体へ“思念”を送信することで、意思通りの進行を可能にしている。
さらに、ファントムパイロットには多層構造のカメラ群と次世代霊気センサーが搭載されている。物理世界のカメラ映像だけでなく、異界にのみ存在する波動体や妖気の変動も感知し、自動回避機能(ADAS)が動作する。開発に関わったカゴラ・ムヤミ(妖技術研究員)は「現世と幽界が交差するエリアでも、霊体・実体両方の障害物を識別・回避可能になりました。道路インフラがコネクテッドカー化すれば、よりスムーズな霊道移動が実現するはずです」と胸を張る。
死神運輸労組連盟は「運転席が消えたことで、物理化した死神の事故リスクが減少し安全性向上を期待」と歓迎の声明を発表。しかし一部の古参妖怪からは「思い出の“物自体”に触れられなくなった」「昔ながらのハンドル操作こそ粋」などの声も聞かれる。SNS「幽談ノート」では、若年幽霊による試乗レビューが熱く投稿されており、「魂離しで眠っても自動巡行」「異界の壁も警告してくれてありがたい」など好意的な意見が目立つ反面、「強い念を送ったら車体がバックスピンした」「運転意志を認識しすぎて同乗者も乗っ取れる」など課題も浮上している。
ファントムライドは今後、物理体向けのアナログ制御車と並行し、新モデルのアップデートと魂波長の個体差調整に注力する方針だ。ユルシナ設計主任は「霊とモノが共存する未来の交通インフラを創りたい」と語り、あの世の“走る自由”を守る意欲を見せていた。



コメント
魂リンク操作ってすごい時代になったなあ…。生前は運転苦手だったけど、これなら幽体でも安心してドライブできるね。来世の道を走るのが楽しみ!
便利すぎて驚きます!でも、あの手触りのステアリングがやっぱり懐かしい…魂で動かせるのも良いけど、昔のカタチに未練もある派です。
運転席消滅とは大胆だな。物理化事故が減るのは助かるけど、たまにぼんやり漂ってるだけで車が進み出さないか心配…幽界交通法も改訂が必要だね。
幽談ノートでも評判みたいですね!私も試乗しましたが、魂波長がちょっとズレると急にカクついてビックリしました。でも慣れれば快適、未来を感じます。
また妖族向けの新機能か…。最近の若い幽霊は便利に流されすぎじゃ。物自体に宿る霊性を感じてこその旅路だったのにな。時代かのう。