あの世ビジネス界に“モノノ怪ユニバーサルデザイン大賞”誕生 幽霊から河童まで多様性商品へ熱視線

さまざまな姿の妖怪や幽霊たちが、ユニバーサルデザイン製品の並ぶオフィスデスクを囲んでいる実写風の写真。 ダイバーシティ推進
異界の多様な存在が集い、最新のユニバーサルデザイン商品を真剣に見つめている。

死後の世界が現代的なダイバーシティ推進に本腰を入れる動きを見せている。このたび、霊界ものづくり協議会が主催する「モノノ怪ユニバーサルデザイン大賞」が新設され、初回のエントリー受付が異界中に大きな反響を呼んでいる。幽霊や妖怪、精霊といったあらゆる存在が等しく活躍できる商品やサービスを表彰する同賞の設立背景には、多様な存在を包摂する死後の社会の変化がある。

協議会の広報担当、雪女の霧島ゆき(233)は取材に対し「近年は幽霊社員ばかりでなく、下半身がない河童や、何百もの手を持つ百手鬼、逆さまにしか歩けない逆足狸など、多様な“職能”を持つ存在がビジネス現場に増えています」と語る。これに合わせ企業も、例えばボタンを押す代わりに念力操作ができるオフィス機器や、物理的な足を持たない精霊も利用できる階差フリーフロアなど、画期的なユニバーサルデザインに着手。近年は“多様な魂にやさしい”商品が次々に登場し、成仏後の社会進出が後押しされている。

今年度の大賞には、すでに“浮遊社員にも対応した無重力デスク”や、“物体をすり抜ける幽霊専用ロッカー”、さらに“消える日にも対応可能なプロジェクタブル名札”など、多様な応募作が集まっているという。商品審査員には、片足だけ実体化するぬりかべの右田ケンジ(150)や、変身能力を駆使して現場検証を行う九尾狐の木野尾マヤ(356)らが名を連ねており、それぞれの個性的な視点を活かした厳正な評価が行われる予定だ。

SNS上でも「百目のために文字フォント大きくしてほしい」(小鬼庁職員)や「水場で使える回路設計は河童にとって必須!」(河童工房CEO)など、さまざまな声が上がっている。特にジェンダーや形態に由来する利用者ニーズへの配慮は重要視されており、一つの製品が複数の種族や能力に適応できるかどうかが審査の最大ポイントだという。

専門家の、輪廻産業総合研究所の堺しのぶ(幽体経済学者)は、「異界社会がユニバーサルデザインに本気で取り組み始めた今、企業側にも不可視的少数派に向けた本質的な改革が求められています。これからは多様性迎合の“魂見せかけ政策”ではなく、存在ひとりひとりを活かすインクルーシブな商品開発が死後ビジネスの新常識になるでしょう」と分析する。今月末に決定する大賞の行方に、幽世ビジネス界が注目を集めている。

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