霧に包まれた冥界第一公園が、幽霊や妖怪たちの熱気で震えた。昨夜、「ゴーストストリート祭」と題したストリートスポーツとアートの祭典が開催され、亡者たちの魂が再び創造の炎に包まれた。普段は静寂な園内に、光り輝く異界グラフィティと、浮遊するフリースタイルフットボール集団のパフォーマンスが響き渡った。
会場となった冥界第一公園には、幽霊絵師ユキゾメ・七星(ななせ)(享年31)を筆頭に、五色の炎で描写される“霊体グラフィティ”の競作壁が設けられた。七星は「現世の壁に描けない想いを、死後こそ爆発させたかった」と語る。亡霊たちは念の力で壁面を自在に変形させ、見る間に骸骨のパノラマや、忘却の海を渡る舟の絵が浮かび上がった。主催団体「幽界アンダーグラウンド・カルチャー協議会」は今年初めて、異種族参加型の即興アート部門も創設し、ワイザード族や水妖精チームの色彩感覚が遺憾なく発揮された。
祭の白眉を飾ったのは、死者フリースタイルフットボール団体『シェードプレイヤーズ』に幽界ダンサー『影送り団』が加わった“宙空セッション”だ。生前、怪我で現世サッカーを引退した幽霊MFイクリ・ノクタ(享年27)は、物理法則を無視した高速浮遊ドリブルを披露し、観衆・霊獣・迷い鬼入り混じる観客の喝采をさらった。影送り団も、幽体離脱のリズムでダンスバトルに参戦。踊りながら現実の影を重層的に投影、観る者を異次元に誘う幻想的ステージを作り出した。
また、今年初の試みとなった『追憶グラフィティ決戦』では、参加者が自らの生前の思い出や未練を、特殊燐光スプレーで壁画化。公園西端の“迷宮アーチ”には、戦後孤児ゆえ飢餓の幻を描くユウマ・望月(享年13)の絵と「もう一度だけおにぎりを食べたい」の文字が浮かび、多くの亡霊の涙を誘った。
SNSでも『あんな色彩のグラフィティは現世でも見たことない!』『幽界にもストリート魂が根付いている』と反響が広がっている。死神スポーツ研究家の堂本マカノリ(不明)は「死後の世界で若き魂の表現欲求がここまで爆発するとは想像以上。冥界スポーツとアートの融合は、境界を超えた連帯を生み出している」と分析する。来月には近隣の第二冥界公園でも姉妹イベントの開催が決定。現世にも静かに影響を広げつつある異界ストリートカルチャー、その熱狂はまだ覚めそうにない。



コメント
祭りのグラフィティ、写真だけでも波動が伝わってきて震えたわ。わたしも成仏前に壁に描いてみたかったな…死後の自由っていいものね。
まさか幽界でストリートバトルやる時代が来るとは!ノクタさんの浮遊ドリブル、サッカー好きの自縛霊仲間と見に行けば良かったー。来年は現地で応援します!
追憶グラフィティ決戦の話、なんか胸にしみました。未練をアートに昇華するの、霊界ならではですね。おにぎり、私も恋しいなぁ…
生きてる頃はあんな自由なパフォーマンス観たことなかった。しかも観客に霊獣まで混じるとは驚きだぜ。次回は我ら妖怪族も踊りで参戦したい!
幽界にもこういうカルチャー根付いてきたの、嬉しいし懐かしいね。生前は陽の当たらない場所が好きだったけど、死んだら祭りの熱気も悪くないな。