墓場産業で“リスキリング幽霊”増加 経費精算めぐり管理部が悲鳴

経理担当者のデスクで、書類を持った半透明の幽霊社員が経費精算を依頼している様子の写真。 企業活動
幽霊社員によるリスキリング経費精算対応に追われる管理部の一場面。

異界最大級の墓地管理会社・ネクロテック株式会社が、近年急増する“リスキリング幽霊”の経費精算対応に追われている。未練を残してこの世にとどまる幽霊社員たちが、自らの埋葬専門スキルから多様な業務スキルへ再教育を希望する動きが活発化。会社の人的資本経営を巡り、あの世の企業界隈に波紋が広がっている。

近年、死後も意欲的なキャリアアップを志す幽霊社員は少なくない。特にネクロテックでは、伝統的な墓石磨きや冥界ガイド業務から、最新のクラウド霊的資産管理やインターネット鎮魂サービス、法律相談補助業など、さまざまな新規事業を拡大。こうした背景のもと、永年勤務してきた幽霊社員アリシノ・ミスズ(享年102)は「新たにポルターガイスト通訳士やデジタル憑依技術士の資格を取得したくて」と語る。だが、異界の職能学校での研修費や書籍代は想定以上に膨らみ、部門間で“経費精算ゴーストラッシュ”現象が発生しているという。

同社経営企画部の鬼塚三千男部長は「能力開発は会社の未来。でも、幽界の職業訓練校が昨年以降値上げし、社員全員から『リスキリング費用を全額認めてほしい』という申請が殺到しています」と困惑気味。さらに、一部では“浮遊マンション投資家”への転向を目指す者、“生前回帰アクセラレーター”の副業許可を求める者など、契約業務の多様化も加速。「副業規定を見直し、魂契約書のデジタル化も急務」と頭を抱える。

SNSでも同社幽霊社員のリスキリングが話題だ。“怨霊同盟”など業界団体は、「人的資本経営を掲げるなら、スキル多様化は不可避」と擁護。一方で、「経費の無限拡大は、あの世の財政基盤を揺るがす恐れも」(シショウバラス法律事務所・家長ヤメキ主任霊)と懸念する声もあがる。幽霊間で人気の“現世イノベーション講座”や“人間心理の読み解き集中合宿”の受講証明をめぐり、精算書の“消失”や“幽体離脱中断”といった不備も多発している。

ネクロテックでは今後、社内に“人魂キャリアラボ”を新設し、幽霊社員の成長と経費合理化の両立を目指す計画。アリシノさんは「新たなスキルで社内外に貢献できる。墓場経済そのものが変わるかもしれません」と意気込む。一方、管理部の負担増はいっそう顕著で、“あの世の働き方改革”にはまだ多くの課題が残されていそうだ。

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