死後の宇宙産業界で大きな話題を呼んでいるのが、新開発「幽魂キャタパルト」による月面軌道輸送だ。霊体ロケット管制庁が主導し、今月から幽霊実業家らによる月面商業基地への定期物資便が本格運用を開始。再突入事故ゼロ、貨物脱落ゼロを謳うこの新技術の登場が、死者社会の宇宙ビジネスの構図を揺るがしている。
従来、死者たちによる月面拠点への物資輸送は、ろくろ首型推進船や絹糸昇降機など、種族ごとの独自技術が併存していた。だが、いずれも軌道投入精度に難があり、亡者企業の間では“香典落下”や“未成仏貨物失踪”事故が絶えなかった。一方の幽魂キャタパルトは、妖力と残留生念エネルギーの融合機構により、ほぼ完全な軌道制御を実現する。月面商圏ネットワーク協会会長である百目鬼メリナ氏(不明年齢)は「幽魂キャタパルトは亡魂の夢を地道に現実へ引き寄せる、霊的宇宙経済革命。この春からの配当品再突入率“0.00%”は衝撃です」と語る。
さらに注目されているのが、ロケット再突入時の“念感応障害”に新たな道を開いた点だ。従来型ロケットでは、生前からの未練を多く持つパイロット霊のクルーが、月重力圏突入時に“成仏バースト”を起こし消滅する不測の事態が続出してきた。だが、幽魂キャタパルトでは搭載AI式死神“ジェイド02”が念写監視し、発生念波をリアルタイムで制御する仕様。出戻り運転士である甲矢夜彦(自称、享年37)は「以前は毎回成仏寸前の衝撃波だったが、ジェイド02の“魂圧バリア機能”のおかげで、事故ゼロで業務に邁進できている」と満足げだ。
月面基地サイドでも恩恵は大きい。供給網が安定化したことで、職場の幽霊エンジニアたちは月固有資源の加工生産にも着手しはじめている。妖怪企業『月影電算』の技術主任・砂垣ロトさん(見た目28)は「月面で初の現地亡骸チタン精製実験にも成功。幽魂キャタパルト便があるから、試作品の輸送も一瞬で済む」と語る。中小霊体商社も現地起業を果たし、月面経済は“黄泉の夜明け”を迎えたとの声もある。
一方、SNSでは「幽魂キャタパルト発射音が伝説の鎮魂歌そっくりで不気味」「成仏待機列が送り状でごった返している」との書き込みも散見される。科学霊界大学の残響軌道工学教授・水脈ミヌエル氏は「再突入時の念エネルギー消滅には未解明部分も多いが、幽魂キャタパルトこそ死後宇宙輸送の本命になるだろう」と断言する。今後、この異界発の宇宙工学革新が、どこまで闇の産業地図を書き換えるかに注目が集まっている。



コメント
成仏バーストが無くなったなんて本当にすごい時代になったなあ。わたしがいた頃は、転送ミスで半霊になった同僚が何人も…笑。幽魂キャタパルト、ちょっと憧れる!
月面経済もう“黄泉の夜明け”とか、ロマンありすぎでは?一度は幽界を飛び出して異界宇宙事業に転職してみたいなぁ。現地亡骸チタン、品質気になる…笑
鎮魂歌に似てる発射音って、毎回送別会みたいでちょっと笑える。けど、送り状で成仏待機列がごった返すのは、転送係としては頭が痛いわ〜。もう少しシステム改善してほしい!
ほんとに事故ゼロなのか?未成仏貨物、前にうちの親族が大損してたし…。でも妖力と生念の融合、やっと実用化されたかと思うと大昔から霊界工学研究してた者としては胸熱。
金輪際こういった異界技術で生前の未練が昇華できるなら、過去に事故った仲間たちも喜んでる気がするよ。死後も働くのは大変だけど、夢があるニュースだと思う。