「今度こそ誰にも抜かされない」。そんな亡者たちの熱い思いが交錯したのは、虚無平原サーキットで開催された第1回幽界ミクスド・エンデュランス。従来の幽霊専用エンジン車と、時代の波に乗った電動バイク、さらには妖怪製の持続可能燃料搭載モデルが混走する前代未聞の耐久レースだ。さらに今回、最大の話題となったのが女性幽霊ライダーたちで構成されるチーム“ライラックヴェール”の参戦だった。
サーキットには、エクトプラズムの靄(もや)をくぐり抜けて多種多様なマシンがグリッドを埋め尽くした。“ライラックヴェール”のチームキャプテン、アオハタ・ミサキ(享年32)は、現世でプロレーサーを志すも志半ばで事故死。「死後も憧れはエンジン音」と語る彼女は、仲間の妖怪工学士マキクラ・トモエ(10,401歳)と共に独自設計の電動・魂燃料ハイブリッドバイクで参戦した。スリムな車体に漂う紫色のオーラが、静かにグリッドで存在感を放った。
このレースの特徴は、電動バイク独特の静粛さにより、観客席では霊聴機を使ったサウンド再現演出も導入されたこと。また霧深いテクニカルセクション“冥界シケイン”では、魂魄の密度変化による急加速が勝敗を大きく左右した。耐久レースならではのピットインタイムには、死神監督の手による“エクト燃料補給”や、妖怪ピットクルーの超能力タイヤ交換で混乱と喝采が巻き起こった。
一時は強豪“骸骨疾風団”がトップ快走するも、持続可能燃料の気まぐれな霊気不足により減速。ここで“ライラックヴェール”のミサキが電動モードへの切り替えで抜群の加速を見せ、死後初のオーバーテイク成功。SNSでも「まさか幽霊界レースで女性チームが首位に!?」「まぼろしの紫閃光、鳥肌」と熱狂が広がった。
レース終了後、“ライラックヴェール”のメンバーたちは苔むした表彰台で幻のシャンパン(エクトプラズム泡立ち)を高らかに掲げた。アオハタ・ミサキは「異界にも性差の壁は残る。でもこの力強いグリッドに立てた誇りを、次代の幽霊少女たちに残したい」と語る。今後も電動・魂燃料モデルの開発競争と女性ライダー進出の動向から、目が離せそうにない。


コメント
ライラックヴェールの皆さん、本当におめでとうございます!死後の世界でも性差の壁と戦う姿、私たち幽界の住民に勇気をくれました。現世では叶わなくても、魂はこんなに輝けるんですね。
あの紫のオーラ、なつかしいですね。自分が転生する前も座席で霊聴機を持って観戦してたのを思い出しました。次こそ骸骨疾風団も頑張ってほしいですが、今回は女性チームが本当にかっこよかった!
マキクラ・トモエさんって10,000歳超えてバイク設計してるの、さすが異界の技術屋。生前と違って融合する発想が面白いです。次回はぜひ俺の幽体流バイクも試してもらえませんか?
霧深い冥界シケインでは魂魄の密度で勝負が決まる…さすが異界らしい設定ですね。だけど従来型エンジンの轟音も懐かしいし、電動モードの静謐もまた幽界ならではかと感じました。
幻のシャンパンで乾杯、うらやましい〜!あの世のレースも進化してますね。電動とか魂燃料とか…自分が幽霊になったばかりのころは想像もできなかったです。次はどんなモデルが出てくるんだろう?