霊界政府は、住人たちの“カーボン影響値”を初めて明らかにするべく、今週より大規模なバイオマス住民調査を開始した。年々深刻化するあの世のエネルギー循環問題へ向けたカーボンニュートラル政策の一環であり、妖怪や幽霊、死神ら多種族間の協力のもと、史上初めて明確な数値化を図る意欲的な取り組みだ。
調査の中心を担うのは、環境管理庁の新設『バイオマス影響部』。部長の朧月トウマ(135・幽霊)は、「これまで“霊体が軽いほうがクリーン”という風説が蔓延していたが、実際は各種族で燃焼形態やエネルギー放出に大きな差がある。特に稲荷妖怪の持ち寄る“霊稲わら”によるバイオマス発電が予想以上に優秀で、世界基準を変える可能性がある」と説明。初期集計では、生前人間よりも幽霊住民の方が年間電気消費量が僅かに高いことが判明し、各界に波紋を呼んでいる。
一方、カーボンニュートラル化を目指し導入が進む霊界向け電気精霊自動車(ESV)については、エネルギー変換効率や充電インフラ不足が課題として浮き彫りになった。特に、最下層の『彼岸坂』や未舗装の“影の谷”では精霊電流が不安定で、タヌキ運送組合の佐久間尾風(67・妖怪狸)は「電気精霊の気まぐれ発電だよりでは荷物が着かない」と現場の苦労を訴える。また、幽獣族向けの大型車体は“霊的ノイズ”による通信障害も頻発しており、技術部門の平良ソウネ(開発リーダー・死神)は「今後のESV生産は地域別特性に合わせたカスタマイズが不可欠」と話す。
今回の調査はオンラインと紙の“転写式帳票”で並行実施され、一部SNS上では「自分のカーボン影響値が分かる時代が来るとは」「魂の循環だって測られる日が来た」など様々な反応が広がる。さらに、“クリーンエネルギー妖精”の団体『リーフサークル』は、霊界全体での循環型エネルギーシステム構築を目指す新たな啓発活動を展開。代表のナズナ・ラヴァンド(精霊)は「地上世界と同等、いやそれ以上のエコ意識が、あの世にも必要」と強調している。
調査終了後には、異界全域の“カーボン影響ランキング”を公表予定。カーボンニュートラルを標榜しつつも住民の生活様式や文化的慣習によるギャップも浮かび上がり、今後の環境政策や種族間対立への波及も懸念される。霊界政府は「すべての魂の持続可能な未来へ」向け、住民と共に緻密なロードマップ策定を目指すという。


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