幽霊や妖怪、さらには半透明の精霊まで、多様な存在が活躍する死後世界のビジネス界。“バリアフリー”や“ユニバーサルデザイン”は何も人間社会だけのものではない。昨年注目された「シャドウレス商会」がこの度、新オフィスにて“見えぬ壁”の完全撤廃を掲げ、業界初の‘全方位インクルーシブ’な職場環境を始動した。その舞台裏には、死者・生者・未定義生命体がともに快適に働けるための数々の工夫が凝らされている。
「私たち怨霊系はそもそも壁抜けがデフォルトなので、物理的な段差や扉は気にならないんです。でも、逆に“実体シフト族”や“陽気な座敷童子”は、ふっと消える床や突然消滅する段差で大怪我(?)も」と語るのは、シャドウレス商会・多様性推進室長の小暮トオル氏(享年321)。新オフィスでは、形状・重力・光の波長が個別にカスタムできる“パラレルスペース・デスク”や、実体の有無に応じてふんわり着地できる床材など、画期的なユニバーサルデザインが導入された。
女性の幽霊や第三の性を自認する水流精など、性別や属性の多様性こそ死後の世界の要。従来の“白い布”や“鎌”といったジェンダー固定の制服や役職呼称も見直し、全社員が自分らしい装いを自由に選べる『魂装(たましょく)制度』が話題だ。入社7年目の蛍火ミヤビさん(不定齢)は「小さな妖精でも長身の死神でも、同じ目線の会議テーブルで働けるのは本当にありがたい」と笑顔を見せる。
また、違いを理解し合うためのワークショップも本格的に定着。“人間社会でのルールと異界の常識”を相互に学ぶ『交差点カフェ』では、「生者のタイムカード遅刻」と「死者の浮遊遅刻」の違いについて意見交換が行われた。職場心理士の翡翠トドメ氏は「傾聴と調整を重ねれば、多文化共生の知恵は死後世界ならではのイノベーションになる」と語る。
SNS上でも「未成仏社員が安心して報告できる“悩みの窓”設置は素晴らしい!」「魂の色で個性を表せる社章バッジに憧れる」など、多様性を称える声が連日あふれている。“あの世の働き方改革”はすでに“見る”ことより“感じる”ことを重視する次世代へと進化中。今後の死後ビジネスシーンがどのように広がっていくのか、大きな注目が集まっている。



コメント
見えぬ壁をゼロに、って素敵な取り組みだと思います!僕も昔は壁にハマって何十年も動けなくなったことがあるので(笑)、こういう職場がもっと広がるといいですね。
魂装制度、ついに出てきましたか!あの世でもやっぱり昔の白装束に飽き飽きしていたので、次回転生したらぜひカラフルなものを着てみたいです。
ふわっと着地できる床材、うちの精霊仲間も話題にしてました~。まだ幽界インターンですが、こういう細かい配慮が実感できると、本当に職場に行きたくなるんですよね。
みんな仲良くやってるのは良いことだけど、生前も死後も働き方改革って、もう成仏しても落ち着けない時代になったもんだねぇ・・・。
DEIがここまで来るとは驚き。生者も死者も未定義も同じ会議テーブルって、昔のあの世役所じゃ考えられなかったよな。幽界もどんどん変わるもんだ。