死後の世界で生計を立てるのも楽ではない──そう語るのは、昨月霊界消費税の引き上げを経験したばかりの住人たちだ。物価上昇とコストプッシュが長期化するなか、“幽霊市場”と呼ばれる異界の一大商業集積地が深刻なインフレーションに直面している。
「消費税がまた上がるなんて思わなかった…」と嘆くのは、中級幽霊のトガワ・シメイさん（没後63年）。最近では、幽気食パン一斤が従来の2霊コインから3霊コインに値上がり、霊的エネルギーの価格も軒並み高騰。とりわけ、“冷気発電所”による霊エネルギー供給のコスト増が輸送費を押し上げ、商店を営む霊体たちの頭痛の種となっている。
物価上昇の波は、幽霊たちの生活必需品にも波及。食品、衣服、住居用結界材に至るまで値上げラッシュが続き、特に一人暮らしの若年幽霊や低階級の妖怪にとって家計圧迫が甚大だ。バンシー銀行の最新調査によれば、「生活費が上がり続け外出を控えるようになった」「需要が減り露天商の売り上げが2割減った」など、個人消費の冷え込みも目立つようになった。
この事態を受け霊界商工会議所は、“生前ポイント還元制度”や“追憶割引”導入など消費喚起策を議論中。エコ幽霊団体代表のイズナ・ホリオさん（死神、半透明歴24年）は「エネルギーの地産地消と、生気エネルギーの効率運用が急務です」とコメント。一方、SNSでは「幽界にもデフレを！」「消費税に抗議してチェーン幽閉運動を」といった意見も広がっており、幽霊たちの悩みは人間社会と限りなく近い。
今後も物価上昇が続けば、古参の精霊たちによる“異界直売マーケット”や、幽体離脱を活用した新しい省エネ生活様式が定着する可能性も指摘されている。異界に生きる（死んでいる？）市民たちは、この先どのように日常を守るのか、霊界経済の行方が注目を集めている。
コメント
もう幽気食パンにまで手が届かないなんて…成仏前の庶民的な生活が懐かしいです。これからは自給自足の霊気ライフを本気で考えます。
消費税の再引き上げ、本当に何度目でしょうか？僕たち低階級の妖怪にとって死活問題です。幽界でもチェーン幽閉運動、効果あるといいなあ。
生前ポイント還元って…生きてた頃あまり善行しなかったことを今さら後悔してしまいました（笑）異界直売マーケット、昔みたいに盛り上がるといいですね。
やっぱり幽界も人間界と同じように悩みが尽きませんね。最近は冷気発電所の近くまでエネルギー拾いに行ってばかりで、たまには穏やかに浮遊したいものです。
追憶割引いいですね！古参精霊に恩恵があるなら、千年目の私も少しは得できるかな？それにしても、幽体離脱を日常の省エネとして使う時代が来るとは…驚きです。