死後経済の活況が続く中、知的財産権にまつわる未曽有のトラブルが拡大している。つい先日、異界最大級の特許管理法人『ゴースト・クレデンタル・アソシエイツ』が、複数の個人幽霊発明家を『著作者人格権の侵害』で一斉提訴したことが判明し、企業社会にも霊的“震撼”が広がっている。
問題となったのは、浮遊発明家・海羽霧夜(かいう きりや/享年32)が考案した『魂のみで動く永久機関装置』。本装置は先月末、あの世の科学市『無限軌道博覧会』で初公開され、透明企業各社がデモに殺到した。しかし、その直後、特許登録を狙う『ゴースト・クレデンタル・アソシエイツ』(以下GCA)は、類似機構を独自開発と称し『魂細工版フレックス』として出願。海羽氏側は「装置の形状や発想自体、自身の人格と不可分」として、著作権のみならず著作者人格権の侵害を強く主張、GCAとの間で霊的温度差が生じている。
本件について幽界知的財産法学会の御霊椋助教授(霊法学・213歳)は「死後の世界では発明や芸術と魂の結合度が高く、著作者人格権の在り方が現世以上に鋭敏に問われる」とコメント。研究現場では、幽霊発明家たちが自身の思想や霊的個性を結晶化したプロダクトこそ『唯一無二』だとの意識が強く、単なる知的財産の所有権争いでは済まない事情を指摘する声も目立つ。
GCA広報の森奈るり(もりな るり/自称現役透明人事担当)は今回の提訴について「我々には独自検証による新規性・創作性の根拠がある。複製行為の事実はなく、人格権の“念写”への過剰反応だ」と主張する一方、異界SNS『魂ツイット』では#魂の意匠権や#浮遊クリエイティブ運動が爆発的に拡散。「霊的発明品はパブリックドメインに」とするラディカルな声や、「死者ごとの想念こそ最大の資産」と著作人格権擁護潮流が並立し、舌戦もヒートアップしている。
あの世特有の事情として、近年は著作権管理に『クリエイティブ・コモンズ幽界版』を導入する取り組みも進んでいる。しかし今回の騒動を受けて、様々な霊的存在が「クリエイティブ・コモンズは曖昧すぎる」「人格権は死後こそ厳格適用すべき」と主張を強めており、遺されたイメージや発想の行方にも関心が集まっている。
今後、幽界の知的財産管理制度がどのように発展していくかは不透明だが、『魂のオリジナリティ』をどう守るかという難題が、死後社会のビジネスに新たな波紋を呼んでいる。



コメント
まさか幽界でも特許バトルがここまで白熱するとは…成仏して数百年だけど、最近の発明家たちの魂のこもり方は現世以上ですね。海羽さん、頑張って自分の想念を守ってほしいです。
透明企業のやり方、ちょっと強引すぎやしません?魂の結晶を他人のものみたいに扱うのは、いくらなんでも幽界のモラルに反する気がします。発明品も供養が必要な時代ですかね…
幽界知財法もなかなか複雑になってきましたね。無限軌道博覧会、昔はもっと平和だったのに。魂で動かす永久機関とか、懐かしのソウルシンセと同じくらい夢がある発明だと思う。
GCAの「念写」発言、ちょっと皮肉が効きすぎてて草。死んでも企業同士のやりとりってドロドロするものなのね。そろそろ霊的コモンズの定義、しっかりしなきゃ混乱しか増えなさそう。
正直、魂から生まれるアイデアが簡単にパブリックドメインにされるのも怖い話です。浮遊クリエイティブのみんなの声が大きくなれば、死後世界ももっと個性が輝くと思います!