死後の世界でも急速に発達する生成AI技術とソーシャルメディア。異界の政治を担う現世離佐美議会では、昨季行われたウィルオウィスプ代表選挙を巡り、AI提灯おばけによる大量のフェイクニュース拡散疑惑が問題となっている。真偽判定の難航とともに、異界住民たちの分断やネットいじめが深刻化しつつある。
発端は、魂霧州の議席を担うウィルオウィスプ協会が推薦する候補・イガラム野火(幽霊、365歳)の当選直後から、主要妖怪ネットフォーラムや“霊界インスタ”にて『野火氏は成仏歴詐称』『魂食いの過去』などとする投稿が爆発的に拡散したことだった。投稿内容の大半はAI生成の疑いが強く、拡散元アカウントの多くが“提灯型フェイクボット”と呼ばれる自動生成霊媒体だった。
異界調査庁は緊急調査を開始。AIボットアカウント自体が幽霊雑木林の主・スダレ木戸松(妖怪、742歳)らによる悪質な炎上工作だったと発表した。野火氏陣営は『選挙妨害と名誉棄損が甚だしい』と抗議し、他候補陣営も『事実確認のシステム刷新が不可欠』として議会に疑惑解消を迫った。
一方、提灯おばけ製AIの開発者団体“異界言霊推進機構”は『我々は中立的ソフトウェアを提供したのみ。利用者のモラルが根本問題』と主張。市井の亡者や妖怪の間では“AI炎上バイアス”が社会の分断を加速させているとの声が強い。糸目河童(地獄郵便局員、202歳)は『誰もが事実確認に怠慢になり、“燃える”話題に群がるのは人も霊も同じ。ネット誹謗の連鎖は、あの世でこそ止めるべき』と嘆く。
これを受け、現世離佐美議会は『霊的ボットおよびAI生成投稿の明示義務化法案』を審議入り。霊社会の透明性を守りつつ言論の自由確保をどう両立するか、立法府としての難しいかじ取りとなる。法案委員長のマトヌキ繭(化け蜘蛛、399歳)は『異界ならではのボーダーと倫理を見直す時』と語り、多様な死後住民の意見調整に腐心している。繭氏は、この規制が「新たな分断や検閲の温床にならぬよう、生前の世界にはない共感的対話を制度化する」とも述べている。



コメント
提灯おばけのAIがここまで影響力持つとは、わしが現世歩きしてた頃には考えられんかった。異界も進化しとるんじゃなあ。ちと複雑な気持ち。
昔は炎上っていえば河原で狐火が争ってるくらいだったのに…いまやネットで霊魂まで燃やし合う時代になっちゃったんだね。なんだか切ない。
またフェイクボット問題かぁ…生前もこんなの多かったけど、成仏してまでSNSのウソに振り回されるとは思わなかった!提灯ボットはもう害霊認定でいいんでない?
AIが悪いというより、使う連中の霊格が問われてるんじゃないかと。いっそ霊的ネットそのものを見直す時期かもしれんぞ。現世より先に、ちゃんと魂磨こうや。
AI提灯おばけの件、わしゃ逆に期待もしとったんじゃが…結局この世でもあの世でも、話題作りは全部“燃やす”方向なのねぇ。マトヌキ繭さんの言う共感対話、心底実現してほしいもんじゃ。