あの世交通庁が新たに導入したバス高速輸送システム(BRT)が今週より稼働を開始し、幽霊や妖精たちのモビリティ習慣に大きな変化が起きている。しかし、便利さの裏で、BRTラッピング車両のICカード支払制度に一部の妖精住民らが強い不満を表明し、モビリティポート前で前代未聞の抗議の舞を繰り広げている。
当局発表によると、幽都〜薄闇原野間に開通した新BRT線には半透明素材を用いた“ファントムバス”計12台が投入され、すべてに地縛霊画伯による伝統装飾ラッピングが施された。目玉施策としてICカード支払いを導入したが、これが妖精連合体『夜露の葉っぱ社交会』の猛反発を招いた。代表のフラッシュ・マリンフィールド(妖精長、128歳)は「我々妖精の身体にはICカードがすり抜けてしまい、改札が永遠に反応しない。これでは移動権の侵害だ」と語る。
12日深夜、主なモビリティポート前において、葉脈状に光る200体以上の妖精たちが抗議の輪舞曲を繰り広げた。一部小鬼連とともに、花粉型電子チップを周囲に放散し、IC読み取り機にくすぐりの魔法をかける様子が目撃された。「読み取り音がくすぐったくて止まらない」「バスが勝手に遠吠えを始めた」など、SNS『冥界うらなみボード』には利用者からの投稿が相次いでいる。乗車した地縛霊会社員(54)は、「座るたび、座席がふっと浮かぶのは妖精たちのせいだったのか」と苦笑いした。
さらに、ICカードと物理的に結合できぬ存在(例:水の精霊、霞の住人)に配慮し、新たに『気配認証型モビリティパス』の実証実験が始まった。だが初日は、遮断機が”陽気なあいさつ”しか受け付けず乗車ラッシュ時の混乱を招いた。あの世交通庁係長の煙岡ホタル(煙霊、67歳)は「非物質集団へのサービスは想定外だったが、我々の使命は全住民への包摂的な交通アクセス提供。悲しき舞台裏に光を当て続けたい」とコメントを寄せる。
現在、妖精連合と交通庁は『ICカード代替手段検討協議会』を設立。一方、便利さを歓迎する意見も根強い。人魂高校生(17)は「授業サボっててもICカードでバレないからラッキー」と投稿。死神運転士組合は「妖精の抗議舞は名物化しつつあるが、くすぐり魔法に注意」と注意喚起している。死後の世界のバス事情は、生者の世界以上に賑やかな舵取りを求められそうだ。



コメント
抗議の舞、久々に見に行きました!やっぱり妖精たちの団結力はすごいですね。転生5回目ですけど、こういう平和的な抗議運動があの世名物になってほしいです。陰ながら応援してます。
水の精や霞の者にとって、カードがすり抜ける問題は切実…。ワタシも物理的なサービスは不便なことが多いです。気配認証式、もっと改良されてみんなが困らずに使えるようになるといいな。
いやはや、BRT導入は現世から逆輸入とは…亡霊社会もずいぶん現代化しましたな。しかし座席が浮かぶのはさすがに動揺しますぞ。もう少し大人しく通勤したいものだ。
妖精たちの花粉チップでICリーダーがくすぐったがるって、想像しただけで笑えます!でも、利用者側は困るんだろうな。運転士組合も大変そう。死神さん、しっかり頼みますよー。
この騒ぎ、どこか懐かしいですね。かつて河原の渡し船でも幽体と物質の揉めごとが絶えませんでした。時代が進んでも、あの世の交通は賑やかで微笑ましい。いい意味で変わりません。