砂漠化進むトリル砂原に“幽界レンジャーズ”集結 見る者を惑わすグリーンミラージュ計画始動

砂漠の中で幽霊のようなレンジャーと妖狐の若者たちが、緑色のコケの周りに集まって活動している実写風の写真。 自然特集
トリル砂原で新たな緑化を進める幽界レンジャーズと地元住民たちの取り組みの様子。

消えゆく森と拡大する砂漠。死後の世界でも土地の変化は深刻な問題となりつつある。近年、異界西部のトリル砂原では急激な乾燥化・生物多様性の減少が報告され、地元の幽霊住民や妖狐の若者たちから不安の声が相次いでいる。そんな中、森の精霊カンデリオ・ナグツキ(永世林保護官長、推定没後370年)率いる“幽界レンジャーズ”が、かつて緑豊かだったトリルの再生をかけて前例なき「グリーンミラージュ計画」を始動した。

同計画の中核は、亡霊生態エンジニアであるトガリ・フユエ(36没)監修の新種“蜃気楼苔(しんきろうごけ)”の導入だ。この特殊なコケは幽界科学アカデミーの協力で開発されたもので、乾いた砂粒でも微細な水蒸気を集め、周囲の気候に清涼な錯覚をもたらす作用を持つ。物理的な緑化の一歩手前、“見る者の感覚に訴える緑”が、自然再生のモチベーションを高める狙いだという。現地ではすでに妖狐族や河童住民による植生プロジェクトが始動しており、蜃気楼苔の「幻惑効果」によって砂漠野生動物の個体数も微増傾向にある。

さらに面白い動きとして、トリル砂原の都市部との連携が進んでいる。幽界都市緑化局のヴィレート・レンカ(都市インフラ推進官、没後92年)は、砂塵に強い『幻影樹』を道路や廃墟の屋上へ試験的に設置。「亡者で賑わう旧歓楽街のグリーンインフラが、新たな観光資源化し始めている」と語る。すでに死神向けサステナブルツアー会社も立ち上がり、妖怪たちが開発した“自家発電性キノコ”によるナイトサファリがミステリアスな人気を集めている。

一方、自然保護区の取り組みでは虫たちの役割も大きい。地元のヤドリガン昆虫協会会長であるベス・サダヲ(霊体昆虫学者、47没)は「蜃気楼苔の根付くことで、かつて絶滅寸前だった幽界トンボ類の群れが帰還し始めた。空間の温度と色彩が変わり、他の幽生態系も目覚めようとしている」と語る。SNS上では“#緑の幻影再生”というハッシュタグが流行し、「亡者仲間で幻影樹に水やりに行った」「死後に最初に見た緑が蜃気楼苔だった」と共感の声が相次ぐ。

砂漠の再緑化と生物多様性の復活をかけて死後の住民たちが手を取り合うこのプロジェクト。カンデリオ・ナグツキ保護官長は「トリル砂原の緑は、現世でも異界でも“幻”と呼ばれてきた。だが、住人みんなが幻を信じたとき、本当に森が蘇る」と語気を強める。志ある幽霊や妖怪たちの手による、ありえないほど幻想的な都市と自然の共創。それが今、死後の未来に向けて着実に芽吹き始めている。

コメント

  1. 幽界レンジャーズ、また新しい伝説を作ってくれて嬉しいです!私もあの世に来てから緑を懐かしく思っていたので、蜃気楼苔の淡い緑を見に行ってみたくなりました。転生する前より自然を大切にしたい気持ちが強くなりましたね。

  2. グリーンミラージュ計画、面白い発想!実体のない緑でもモチベーションが上がるってのは、成仏しかけてたボクにも刺さる。かつてのトリルが好きだった亡者仲間にも教えたいです。

  3. また幻の計画かと思ったけど、意外に本気なんですね。自家発電キノコのナイトサファリ、未練ある亡者たちの新しい社交場になってそう。死神ツアーとか、昭和の終わりみたいなノリで笑ってしまいました。

  4. 幽界トンボが戻ってきた話、ちょっと感動しました。私は生前から昆虫好きだったので、色彩が変わっていく砂原をまた見られるなんて夢みたい。次はどんな幻影が現れるのかな。

  5. ところで、幻影樹の世話って大変じゃないの?幽界SNSで水やり写真を見るけど、本当に緑が増えてるのかは半信半疑。でもこうやって死後でも何か成し遂げようとする熱量、すごいと思います。