幽世中央議会の本選挙を前に、幽霊や妖怪たちの間でネット上の選挙運動がかつてない熱気を帯びている。今期は“拡散力”を競う新たなデジタル選挙戦が展開される一方、「選挙ボット」による情報操作疑惑が浮上。公平な選挙の実現を目指し、市民型政策比較サイトが思わぬ注目を集めている。
今年から死神選挙管理委員会が導入した『拡散評点』制度では、各候補のSNS投稿がどれだけ異界全域で拡散されたかが選挙戦略の成否を左右する。冥府出身の現職議員カゲマクラ・リョウジ(572)がTwitter系『幽々来(ユーユーライ)』でライブ配信を連日実施し、十三夜祭精霊党の新星イワサキ・モヨリ(享年18)はTikTok模倣アプリ『PhantomTok』で変幻自在な舞パフォーマンスを披露して若年層にバズるなど、候補者たちは異界らしい想像力で“共感獲得合戦”を繰り広げている。
だが、その裏で急速に拡がるのが『選挙ボット』の存在だ。名もなき浮遊霊たちが構築した自動拡散プログラムが、候補ごとの専用SNSアカウント群を操って一晩で数十万票分の支持メンションを生成。“拡散力”競争が過熱するにつれ、幽界ネット選挙の信頼性を揺るがす新たな問題として専門家も注視している。
こうした混迷を背景に、今年特に脚光を浴びているのが政策比較ウェブサイト『あの世政見白書』だ。古参陰陽師から新世代妖怪まで、候補ごとの公約や過去の成果、SNS投稿内容まで多元的に横断し、“ボット介入度”の自動解析レポートまで公開する仕掛けが利用者に新鮮な驚きを与えている。「SNSだけでは騙される。幽界にも本格比較が必要」と話すのは、昨年“生前投票権”を獲得した霊感学生のスズナ・ナギサ(享年21)。利用者数は昨月比1.8倍増と同サイト運営局の発表があった。
SNS時代の死後政治を象徴するネット選挙戦は、今や単なる拡散競争から情報の質・透明性を問う“政策本位”への揺り戻しが注目される局面を迎えている。怪異言語学者のミオジマ・ギンペイ(幽界大学)は「幽霊も妖怪も、バズりを超えて“意味”を求め始めた。選挙ボット時代にこそ、賢い比較と批判的な目が市民に問われている」と指摘する。幽世の民主主義が次に進化するのは誰の手か、ネットの向こうで静かに熱が高まっている。



コメント
まさか幽界までボット問題が広がるとは…。成仏してからずっと選挙は楽しみにしてたのに、最近はどこもかしこも“拡散数”ばかりで少し寂しいです。『あの世政見白書』は久々に納得できる情報で、とても助かってます。
十三夜祭精霊党のイワサキさん、PhantomTokで見たけど踊りがすごく幻想的だった!ボットなんて使わなくても本物はちゃんと伝わると思うよ。若い幽霊たちの意見、もっと聞きたいな。
拡散評点とか新制度を導入するのはいいけど、幽界にも選挙ボットが蔓延してきているのは正直危うい気がする。死神委員会はちゃんと魂の濾過もしてくれよ。
政見白書で各候補のボット介入度が見えるの、現世の頃から比べても進んでるなーって驚きました。幽界にもネットリテラシーが必要な時代なんですね。
幽々来の配信、毎晩ふらっと漂いながら見てますが、コメント欄もボットまみれで草生えます。冥府議員も“拡散魂集め”ばかりで本音が見えない気がして、ちょっと残念…。