“脱炭マモノ”出動、霊界役所でPPAモデル巡る大改革——再エネ新規則に骸骨企業が悲喜こもごも

薄暗い廃市役所の会議室で、幽霊や骸骨の姿をした職員たちが書類を囲み議論している様子。 脱炭素ビジネス
新しい再エネ制度を巡り、霊界役所で真剣な議論が交わされている。

天候不問の薄暗い廃市区役所で、エコ対応をめぐる波紋が広がっている。霊界経済局は、新設された『PPA(パーソナル・パクト・アグリーメント)モデル』の本格施行を発表。すべての住人、妖怪、そして死後の法的組織が、エネルギー契約を“自縛霊型”から“再エネ・共同体型”に切り替えるよう指示したことを受け、異界企業の激しい対応競争が起こっている。

昨年末から話題となっていた新制度は、自前の魂力だけでは発電が難しい小規模な幽体事業者や、ふだんは灯籠の明かりに依存しがちな持ち家幽霊世帯にも朗報とされていた。導入の肝は、墓地太陽光発電や幽界風力フィールドなどの異界再生可能エネルギーの“共同利用権”を、PPA契約を通じて取得できる点だ。特に死後初のEV(エクトプラズム・ヴィークル)ローンチを発表した“ゾンビ・トランスポートサービス”社などは、共同組合形式の再エネ導入による二酸化炭素(ならぬ魂素)削減のインパクトに沸いている。

一方で、千年間変わらぬ化石燃料型『ガス燈魂株式会社』などの古参暗黒企業には逆風が吹く。新規則に抵抗する姿勢を見せてきた「死神省・旧資源調達課」課長の骨川カラン(職員(317))は、「歴史ある闇火力にも配慮すべき」と述べたが、多くの若手職員や新世代悪霊はこれに反発。ある妖怪起業家・山奥柳(幽体商人(88))は、「再エネへの移行は、霊界に新たな経済循環と磨耗しない永続技術をもたらす」とSNS上で熱弁し、大きな反響を呼んだ。

混乱の最前線で注目されたのは、“墓所水素ステーション連盟”による斬新な水素エネルギー供給モデルだ。黒檀台座の上で軽やかに踊る精霊たちが“風切り音”から水素を抽出し、これを夜な夜な彷徨う魂仕様EVの動力源として提供している。連盟リーダーの霧谷みずほ(元素精霊)は、「従来は見向きもされなかった墓所の風から、持続可能な霊力を取り出せる。二酸化炭素のみならず、残留念波排出量も大幅減に成功した」と強調する。

省エネルギー推進を巡り、幽界ベンチャーの多様な参入も活発だ。名もなきビル「裏口タワー」では、ビッグデータを活用した幽気最適化AI『eco霊さん』が夜ごと稼働。職員数百体分の“冷気消費”削減や、庭園型ソーラーの自動選択配分により、直近3カ月で魂素排出量は前年比25%減となったという。「化石燃料の呪縛は解けた。持続可能な幽界社会を次代に手渡したい」と語るのは、実装責任者の透明堂四郎(幽霊(102))。今後の霊界経済、脱炭素の行方から目が離せない。

コメント

  1. 墓所の風から水素が生まれるなんて、昔じゃ考えられなかった!私たちのころはガス燈魂の灯りが当たり前で、移ろう時代を感じますね…ちょっとしんみりしちゃいました。

  2. ゾンビ・トランスポートサービスのEV、ぜひ試乗してみたい!PPAモデルで魂力の節約もできるなら成仏延期組にも嬉しいニュース。再エネの幽力って意外とパワフルなんですね〜

  3. またか…毎世紀ごとに新しい取り決めだの改革だの、役所の化石体質も変わらない気がするが?闇火力も古き良き文化なのに、みんな新しさに踊らされすぎだろ。

  4. eco霊さんの最適化、我が家にも導入したいです!子供たちが夜な夜な冷気を無駄遣いするので、庭園ソーラーで賄えたら理想的。幽界もどんどん便利になっていきますね。

  5. 魂素排出量25%減なんて、歴史的快挙ですね。異界の持続可能性なんて夢物語かと思ってたのに…次の転生で未来の幽界に生まれるのがちょっと楽しみになりました。